辻占の周辺

船橋市の石敢當

「石敢當」という石造物を御存じだろうか。魔物が家に侵入しないように辻などの突当りに「石敢當」と刻んだ石碑を立てて直進してくる魔物の防壁としたもので、中国が起源といわれている。日本では沖縄・鹿児島地方を中心に行われているが、本来千葉県にはな…

八千代春の民俗行事〜オビシャとツジギリ〜

26日午後、八千代市立郷土博物館で開催された「平成25年度第5回やち博講座 八千代春の民俗行事〜オビシャとツジギリ〜」に行ってきました。市内のオビシャの紹介に1時間、ツジギリに30分という時間配分でしたが、由来から市内の現状まで濃密な解説がなされ…

埋墓、六道の辻と詣墓(追加画像)

昨日取り上げた船橋市鈴身町の詣墓の画像です。

埋墓、六道の辻と詣墓

埋墓、六道の辻と詣墓 船橋市鈴身町には、死者を埋葬する「埋墓」とお盆などにお参りする「詣墓」の2種類のお墓が存在する。 埋墓は豊富町側の村外にあり、その近くに「六道の辻」と呼ばれる十字路がある。(画像)六道の辻というと京都・六道珍皇寺近くに…

辻占と辻切り その2の2

辻占と辻切り その2の2 2008年3月10日の「辻占と辻切り その2」で千葉県佐倉市井野の辻切りを紹介したが、本年1月25日に再訪してその様子をつぶさに見学した。 事前に溝を掘った辻に組のメンバーが到着(13:45頃)→古い藁蛇を木から外す→古い藁蛇が畑の一…

塞の神と猿田彦

塞の神と猿田彦 昨日紹介した習志野市の剣の祭りで、一行が根神社近くの集合場所から八剣神社へ向う際に、赤面の鼻の高い神様が行列の前に立つ。(画像)鷺沼の集落の人は「天狗」と呼んでいるが、実は猿田彦であると関係者が教えてくれた。猿田彦は『古事記…

辻占と辻切り その8

辻占と辻切り その8 毎年3月1日になると、習志野市の鷺沼地区で「剣」という奇祭が行われる。「剣」と呼ばれる銅鉾を持った8人の若者が、各戸を回って厄除けをしたり、集落のはずれで辻切りをしたりするのだが、こちらの辻切りには木札を細竹に結んだも…

辻占と辻切り その7

辻占と辻切り その7 辻切りと岐神の関係はこれまで見てきた通りだが、仏教系の辻切りというのもある。画像は船橋市車方町のもの。(2004年撮影)「二聖・二天・南妙法蓮華経・鬼子母神・十羅刹女」と書かれた板が、集落のはずれの木に吊るされている。お題…

辻占と辻切り その6

辻占と辻切り その6 前回の話題と関連するが、船橋市夏見の日枝神社では毎年10月9日に年番氏子が新藁縄で大蛇(龍)を造り、頭を伊勢神宮の方向に向けて鳥居に飾り(画像)、五穀豊穣を祈る風習がある。遠くからだと注連縄のように見えるが、大蛇の頭に…

辻占と辻切り その5

辻占と辻切り その5 画像の辻切りは船橋市鈴身町のもの。注連縄をリング状にした「輪注連」に鷹の爪がはさみ込まれている。民俗学には「注連縄は蛇の交合の姿を表したもの」という説があり、この輪注連も元々は楠ヶ山のように藁蛇だったのかもしれない。

辻占と辻切り その4

辻占と辻切り その4 船橋市楠ヶ山を通りかかったら、辻切りの藁蛇が集落の入り口に据えられていたので、撮影。こちらの蛇の舌には鷹の爪が使われている。 また、木に巻きつけるのではなく、胴を伸ばしてセッティングしているのが面白い。前回の中野木の回で…

辻占と辻切り その3

辻占と辻切り その3 今年も「辻切り」の季節がやってきた。(辻切りについては2008年3月9日、10日の「辻占の周辺」を御覧下さい)例年初午になると、千葉県船橋市の中野木地区では写真のような藁蛇を作り、地区の入り口2ヶ所の木の上に巻きつける。不幸や…

筒粥神事

小正月の行事の一つに「筒粥神事」がある。筒は篠竹製だったり、葭製だったり、また粥は白粥だったり、小豆粥だったりと場所によって異なるが、筒の中に入った粥の分量を元に今年一年の作柄が占われる。 写真は千葉県船橋市二宮神社の筒粥神事(非公開)の結…

現代の辻占?−「車占い」について− その2

3.辻占との比較 車占いを、現在瓢箪山稲荷神社で行われている辻占と比較してみる。(1)占いを行う場所 [車]道路沿い、交差点 [瓢箪山]辻(「うらば」と呼ばれる) (2)占いを行う時間 [車]原則日中 [瓢箪山]昔は夕方、現在は日中が多い (3)占…

現代の辻占?−「車占い」について− その1

昭和52年5月30日付の『毎日新聞(夕刊)』で「子ども調査研究所」(東京・渋谷、高山英男代表)の齋藤次郎氏が「車占い」について紹介している。 この「車占い」は果たして辻占と関係があるのか考察してみた。1.記事概要1.1.発生場所 埼玉県入間…

伝法院通りの地口絵街灯

8月16日の辻占雑記帳「地口絵と辻占絵」の中で触れた浅草・伝法院通りの地口絵街灯の画像。大きな甕を持つ男の絵に「大かめもちだ(大金持ちだ)」という文句が添えてある。そのまま辻占絵になってもおかしくない絵だ。

熊野牛王宝印

昨日の「今日の辻占」で紹介した「熊野牛王宝印」の現物が手元にあったので、参考までに画像をUPしておく。こちらは「熊野本宮大社」のもので、88羽の烏文字を用いている。社務所が出している解説書には、「熊野権現への誓約を破ると熊野大神の使である烏…

『辻占おたんちん』

甲南女子大学の菊池眞一先生から、『辻占おたんちん』と題した辻占関係の袋をいただきました。(画像参照) 「おたんちん」という語は吉原でよく使われた廓言葉で、「間抜け」という意味。(ちなみに、これが後に「おたんこなす」となる)そのため、吉原と関…

ポン豆ヤの「豆ゑ問カルタ」

・ポン豆ヤの「豆ゑ問カルタ」 G.Wに谷中で開催された「一箱古本市」に行った際、根津教会の隣の「月夜と眼鏡」というお土産屋さんで、「豆ゑ問カルタ」(1500円)という面白いカルタを見つけた。(画像)読み札、取り札共豆本サイズで、読み札はクイズ形…

「淡路島通う千鳥の恋の辻占」考(妄想)

・「淡路島通う千鳥の恋の辻占」考(妄想) 人によく、「辻占売の呼声に『淡路島通う千鳥の恋の辻占』というのがありますが、その由来について何かご存知ですか?」と尋ねられる。残念ながら、その由来について記した記録には未だ巡り逢えていない。「淡路島…

サントリー(株)「なっちゃんの点取り占い」

・サントリー(株)「なっちゃんの点取り占い」 現在、サントリー(株)がソフトドリンク「なっちゃん」のサイトで、「なっちゃんの点取り占い」というブログパーツを配布している。(http://www.suntory.co.jp/softdrink/natchan/enjoy/blogparts.html)2月7…

ミミフタギダンゴと辻

ミミフタギダンゴと辻 『佐倉市史 民俗編』(昭和62年)を見ていたら、「ミミフタギダンゴ(耳塞ぎ団子)」という風習が載っていた。(P.699)近所で自分と同じ年齢の人が亡くなると、その年齢の数だけ団子を作り、うち1つを取って耳に当て、「いいことを聴…

辻占と辻切り その2

辻占と辻切り その2 2006年5月10日の辻占雑記帳で、『二中暦』(編纂:鎌倉時代末)の夕占の項を紹介した時に、「堺を作り米を散らし」という下りがあった。占いをする衢の境に米を撒いて邪神の侵入を防ぎ、岐神を迎え入れるというものだが、辻切りでも同様…

辻占と辻切り その1

辻占と辻切り その1 千葉県の民俗行事に、「辻切り(つじぎり)」というものがある。時代劇の「辻斬り」と読みは同じだが、中身は全然違う。1、2月頃、集落の入り口の木に藁の蛇や注連縄、御符などを掛けて、一年間、地区に不幸や悪疫が入らないよう願う…

辻で狐に化かされた話

辻で狐に化かされた話 村上昭三著『船橋の民話』(聚海書林、平成5年)をパラパラめくっていたら、次のような話があった。 倶梨伽羅不動の古狐(抄) 昔、上飯山満村(船橋市)の倶梨伽羅不動の森に古狐が棲み、道往く人々を化かして手荷物を掠め取っていた。…

台湾の「聴香」

台湾の「聴香」 2006年5月10日の辻占雑記帳の中で中国の「響ト」について触れたが、引越しの際に20年前に台湾で購入した本をパラパラと見返していたら、辻占に似た「聴香」という占いに関する記述があった。『台湾民俗大観2』(同威図書、1985、P.115-116)…

市川市宮久保にあった「袖掛の松」

市川市宮久保にあった「袖掛の松」 2006年5月7日の「万葉期の夕占」で「袖切坂」の伝承について触れたが、千葉県市川市宮久保の白幡神社の参道脇に「袖掛の松」があった。(写真右手奥辺り)今は舗装されているが、この道は昔ひどいどろんこ道で、この坂道で…