辻占売

乃木将軍と辻占売 その3

その後の今越翁ですが、弟は孤児院に預けられ、妹は生母に連れ去られ、祖母は心労が元で亡くなり、とうとう天涯孤独の身になります。 かねてから誘いがあった殿町の金箔屋に年期奉公に入り、7年の修行を経て京箔(京都の金箔造り)を学ぶために金沢を後にし…

乃木将軍と辻占売 その2

今越翁は、幼時辻占売をして家計を助け、長じては金箔職人となり、精進の結果、昭和41年に滋賀県の無形文化財第一号に指定された方です。(昭和49年3月没) 以下、今越翁の口述伝から辻占売の記述を抜粋して紹介します。*1 ・加賀前田家で御殿の料理方…

乃木将軍と辻占売 その1

東京赤坂・乃木神社脇の公園に「乃木将軍と辻占売」の銅像が建てられている。(画像)説明板によると、明治24年、乃木希典が陸軍少将の時代、用務で金沢を訪れた際に、辻占売を営みながら一家の生計を支えていた今越清三朗氏(当時8歳)と出会い、その境…

吉原の辻占菓子売

吉原の辻占菓子売 辻占本『はうた辻占せんべい』の序文には、吉原の辻占菓子売の絵(画像)が添えられている。顔は見えないが服装から成人の男性が、辻占売につきものの提灯の代わりに「辻占」と書いた扇子を持ち、「辻占せんべい」と書かれた箱を肩から下げ…

辻占尽の値段

辻占尽の値段 辻占菓子売は辻占尽をいくらで購入したのだろう? 明治20年に作られた辻占尽『さはや板 しん板辻占』(写真)の欄外には、「定価五厘」とある。当時の葉書の価格(1枚1銭)を参考に現在の価格に換算すると、「定価25円」となる。 この辻…

辻占菓子売の業態

辻占菓子売の業態 私見ではあるが、辻占菓子売の業態を以下の3タイプに分類してみた。 1.メーカー直売 3月22日にも取り上げた深川六間堀山口屋の「辻占入りかりんとう」が典型。「本家山口屋かりんとう」の提灯を持った売り子が毎夜、東京の町中を流し売…

「辻占売」のはじめに

「辻占売」のはじめに これまで見てきたように、世間一般では辻占菓子、辻占占紙を行商する者を区別することなく「辻占売」と呼んでいた。購入者としては、最低限辻占文句を書いた紙さえ手に入ればよかったので、両者を分けて呼ぶ必要がなかったのだろう。こ…