辻占菓子

遠月堂の引札

本日、国文学研究資料館(立川)の「日本実業史博物館コレクションデータベース」で辻占関係の史料を探索してみたところ、遠月堂縁谷の引札「菓子屋引札」(史料群番号37TI、請求番号0151、枝番0000)がヒットしました。画像を含む引札のデータはこちらから…

『明嬉今朝之辻占』

虎屋文庫さんのHPで連載している「歴史上の人物と和菓子」のコーナーで『淡島寒月と辻占』というタイトル(2014年12月16日掲載)で遠月堂の辻占煎餅が取り上げられていました。↓ https://www.toraya-group.co.jp/toraya/bunko/historical-personage/166/ こ…

昭和B級文化研究家の串間努さんから、明治38年2月発行の雑誌『婦人と子ども』(第五巻第二号)に「辻占のお菓子」という記事があるという情報をいただきました。 調べてみると東京盲唖学校の平岩学洋氏が辻占菓子の現状を憂えて、紙片の文句の改良を5ペ…

「とらやの羊羹」でおなじみの株式会社虎屋の赤坂本店で、虎屋文庫資料展「お宝満載!吉田コレクション『蘇る 江戸〜明治の和菓子の世界』展」[11月1日(木)〜11月30日(金)10:00〜17:30。会期中無休、入場無料]が開催されます。和菓子研究家吉田…

平凡社の東洋文庫608『柴田収蔵日記2』に辻占昆布と辻占本(占書)らしきものに関する記述がありましたので紹介します。柴田収蔵(1820−1859)は新潟・佐渡出身の洋学者で身の回りの出来事や金銭の出入りを記録していましたが、嘉永3年(1850)に書かれた…

「とらやの羊羹」でおなじみの株式会社虎屋 内にある「虎屋文庫」様から、機関誌『和菓子』第19号をいただきました。今回は「吉田コレクション」特集号ということで、和菓子研究家の吉田隆一氏が三十数年に渡って収集した江戸〜近現代の和菓子関係史料のうち…

グラフィックデザイナーで縁起菓子研究家の溝口政子さんと虎屋文庫の中山圭子さんが共著で『北海道から沖縄まで 福を招く お守り菓子』という本を出版されました(講談社、税別1500円)(写真) 辻占菓子についても16ページを費やしていろいろ書かれています…

神奈川大学日本常民文化研究所特別研究員の中町泰子さんから、『新年の共食機会に見られる占い菓子享受の習俗化―長崎県平戸市と石川県金沢市を中心として―』(神奈川大学日本常民文化研究所 非文字資料研究センター『年報 非文字資料研究』第7号、P.431-455…

「とらやの羊羹」でおなじみの株式会社虎屋 内にある「虎屋文庫」様から、機関誌『和菓子』第18号をいただきました。今回は「甘味料をめぐって」特集号ということで、古代の甘味料、江戸時代の製糖技術、国産化に尽力した池上幸豊、奄美地方の近世専売制度な…

グラフィックデザイナーで縁起菓子研究家の溝口政子さんから、フランスの「パピヨット・ド・ノエル」というお菓子をいただきました。キャンディー包みのチョコレート菓子で、メッセージを書いた紙が一緒に包みこまれています。このお菓子の詳細につきまして…

月岡芳年の描いた辻占菓子

幕末から明治半ばにかけて活躍した浮世絵師・月岡芳年が明治13年に出版された『霜夜鐘十字辻筮』(五編中)の見返しに辻占煎餅の絵を描いている(画像) 辻占煎餅の入った竹籠、煎餅、辻占紙片が描かれ、左上に「大蘇よし年画」とある。月岡芳年は明治6年以…

「とらやの羊羹」でおなじみの株式会社虎屋の赤坂本店で、特別企画展「和菓子の歴史」展[7月23日(金)〜9月20日(月)10:00〜17:30。会期中無休、入場無料]が開催されます。古代から現代にいたる和菓子の歴史が紹介されるとの事なので、夏休みの自…

「とらやの羊羹」でおなじみの株式会社虎屋 内にある「虎屋文庫」様から、機関誌『和菓子』第17号をいただきました。今回は「江戸と菓子」特集号ということで、菓子を含む食類商人の実態や江戸文学に登場する南蛮菓子、錦絵に描かれた菓子などが紹介されてい…

昭和B級文化研究家の串間努さんから、海外の辻占煎餅に関連する情報をいただきました。大津のくじ資料研究会会長の村松永之助氏が、昭和50年12月に発行された趣味誌『趣泉』(趣味会[岐阜県])にロサンゼルスの日本人街で販売されている辻占煎餅につい…

グラフィックデザイナーで縁起菓子研究家の溝口政子さんから、富山県南砺市の山道製菓所の「つじうら」をいただきました。1袋15ケ入りです。

吉原の辻占菓子売

吉原の辻占菓子売 辻占本『はうた辻占せんべい』の序文には、吉原の辻占菓子売の絵(画像)が添えられている。顔は見えないが服装から成人の男性が、辻占売につきものの提灯の代わりに「辻占」と書いた扇子を持ち、「辻占せんべい」と書かれた箱を肩から下げ…

遠月堂の辻占煎餅と『はうた辻占せんべい』のおまけ画像

『はうた辻占せんべい』の表表紙の見返しの画像。 水引をくぐるような感じで遠月堂の商標から「はうたつちうらせんべい」という文字が立ち昇っている。左下の源氏香図文「葵」は、徳川将軍家の家紋→メイド・イン・江戸を連想させる。

遠月堂の辻占煎餅と『はうた辻占せんべい』(辻占本)

遠月堂の辻占煎餅と『はうた辻占せんべい』(辻占本) 2008年3月16日の辻占雑記帳「辻占煎餅と大黒煎餅」で、上田市立図書館花月文庫所蔵の『は唄恋の辻うら』について言及したが、この度、同一本と思われる『はうた辻占せんべい』を入手した。 序文は甲南女…

江戸期の辻占菓子 その2(追加)

・江戸期の辻占菓子 その2(「辻占菓子」の章に追加) 退屈しのぎに、歴博の『懐溜諸屑』DBで「豆」と入力して検索してみたら、未確認の辻占豆とおぼしき商標が見つかった。画像が見たい方は、資料番号を添えておくので、直接DBで御覧になって欲しい。 …

江戸期の辻占菓子(追加)

・江戸期の辻占菓子(「辻占菓子」の章に追加) 昨日、国立歴史民俗博物館(佐倉)へ行ったら、第3展示室(近世)がリニューアルされていた。何か辻占に関連する史料はないかと展示をつぶさに見ていたら、『懐溜諸屑(ふところにたまるもろくず)』という天…

辻占菓子を引く作法

辻占菓子を引く作法 現在、辻占菓子で運気を見る際には、菓子を1個使う場合と3個使う場合がある。先に見た『春の若草』(3月14日)では1個、『花鳥風月』(3月15日)では3個が使われているが、過去の記録やフィクションを見ると圧倒的に1個の方が…

戦中・戦後の辻占菓子

戦中・戦後の辻占菓子 第二次大戦中の昭和17か18年の元旦、辻占紙片の内容を気にしたアベックが易占家・田畑大有の許を訪れている。恵方?詣りの土産に買ったアラレの袋の中に「末は烏の鳴き別れ」とあったので、易で占ってほしいというものだったが、大…

菓子製法書に見る辻占菓子

菓子製法書に見る辻占菓子 これまで特許・実用新案になった辻占菓子を見てきたが、一方で、ノーマルな辻占菓子はどのようにして作られたのだろうか?当時の菓子製法書にいくつか記載があるのでここで紹介したい。(以下、一部内容を補完して記述) 1.『日…

大正以降の辻占菓子その2

大正以降の辻占菓子その2 (6)その他の辻占菓子 ・「小物品入り菓子」(登録実用新案第126499号) 出願:昭和2年1月19日 公告:昭和3年9月29日 出願人 考案者 大阪市天王寺区逢阪上之町八十七番地 村上 齊 干菓子・生菓子に凹部を作りそこに…

大正以降の辻占菓子その1

大正以降の辻占菓子その1 ここでは、大正以降の辻占菓子を、特許・実用新案資料を中心に見ていく。 (1)煎餅 ・「山田式教育辻占煎餅」(実用新案第33810号) 出願:大正3年6月12日 登録:大正3年12月14日 実用新案権者(考案者) 豊橋市大字…

辻占菓子売の受難

辻占菓子売の受難 明治35年を過ぎる頃から、一部の辻占菓子売が消え始める。三谷一馬『彩色江戸物売図絵』によれば、幕末より続いた深川の山口屋の花林糖売がこの頃消えたようだ。また、明治41年9月10日付の『菓子新報』では、「都下 昔あつて今無い…

京阪の辻占菓子売

京阪の辻占菓子売 明治2、30年代の京都・大阪で「辻占売」というと、辻占菓子を行商する者と、辻占の文句を書いた占紙を歩き売りする者の2種類がいたが、ここでは辻占菓子を売る者を紹介する。 1.「げんこつや」 明治27年発行の『風俗画報第79号』…

東京の辻占売(補)

東京の辻占売(補) 辻占豆に引き続き、この時期の辻占入り花林糖について紹介しよう。 正岡子規が『ト筮十句集を評す』(明治三十一年)の中で、こんな評をしている。 長き夜に辻占を呼ぶ旅籠かな 春風庵 旅中長夜のつれづれ辻占売を呼びとめて二銭を投げう…

東京の辻占売

東京の辻占売 明治2、30年代の東京で「辻占売」と言えば、「辻占菓子の行商人」の事を指した。作家の三島霜川は『文芸界』で次のように紹介している。 辻占賣 固(もと)より是は露店とは謂はれぬ。けれども夜商人の一員としては、是非共紹介せねばならぬ…

辻占応用の新製品その2

辻占応用の新製品その2 (9)「蛤の辻占」 米の粉で蛤の形を薄く大きく空洞に作り、中に辻占とそれに見合う小玩具を入れて売る。「蛤のがらがら」ともいい、河竹黙阿弥の『女化稲荷月朧夜』(明治18年)にも登場する。[参照:三好一好『江戸風俗語事典』…