今日の辻占

tsujiurado2008-10-16

沢村版『花のたよりこいの辻占』より「かへるの子はかへるだよ(蛙の子は蛙だよ)」。当時は、福沢諭吉の『学問のすゝめ』*1がベストセラーになるなど、「学問を修めれば出自に関係なく出世ができる」という雰囲気が世に満ち満ちていた。明治5年8月には「学制」が発布され、小学校の整備が始まったが、財源不足の政府は「教育は個々人の立身の基になるのだから、悉く税金でまかなう必要は無い」と月額50銭の授業料を父兄に求めた。この辻占文句は、「官憲や実業家を目指すならいざ知らず、家業を継いで、農家や職人になろうとする子の教育にそんな金は払えない」という親の不満を反映しているのかもしれない。その一方で、絵師が添えたのは「緑色のヒキガエル」の絵。「皆さん『蛙の子は蛙』と卑下するけど、蛙の子が世にも珍しい蛙になるかもしれませんよ」と、こちらは前向きなメッセージ。どちらを採るかは、引いた本人次第。

*1:初編:明治5年2月発行