2011-01-01から1年間の記事一覧

グラフィックデザイナーで縁起菓子研究家の溝口政子さんと虎屋文庫の中山圭子さんが共著で『北海道から沖縄まで 福を招く お守り菓子』という本を出版されました(講談社、税別1500円)(写真) 辻占菓子についても16ページを費やしていろいろ書かれています…

体調の不良につき

今般の冷え込みで体調を崩してしまいました。季節の変わり目にはよくあることですが、記事の更新は今週いっぱいお休みとさせていただきます。

膝栗毛滑稽辻占 その34

歌川重政画『膝栗毛滑稽辻占』は十返舎一九の『東海道中膝栗毛』の二次創作である。32コマ中18コマ、川崎、戸塚、藤沢、平塚、小田原、沼津、吉原、蒲原、藤枝、嶋田、金谷、掛川、日坂、袋井、浜松、舞坂、新居、藤川の絵が原作に由来している。このう…

膝栗毛滑稽辻占 その33

歌川重政画『膝栗毛滑稽辻占』最終回の第32コマは藤川。喜多さんが宿場のはずれの家にいた娘*1の手をつかんだところ、娘が腕にしがみ付いて離れない。物音に気付いた娘の父親、弥次さんを交えて一騒動起こすというもの。添え文は「わたしやおまへにぼつと…

膝栗毛滑稽辻占 その32

歌川重政画『膝栗毛滑稽辻占』第31コマは新居。添え文には「あらゐきよめしこのからた(洗い清めしこの体)」とあるものの、船中の人々は皆鼻をつまんでいる。舞坂〜新居の船に乗っていた蛇遣いについて、原作では「としのころ五十ばかりの、ひげむしやむ…

膝栗毛滑稽辻占 その31

歌川重政画『膝栗毛滑稽辻占』第30コマは舞坂。舞坂から船に乗り、浜名湖の対岸の新居までは1里の船旅。その船中で同乗した蛇遣いの蛇が逃げて大混乱。喜多さんが蛇を脇差で押さえつけたところ、巻き付いたので一緒に海に捨てると、蛇は沈んで脇差はプカ…

膝栗毛滑稽辻占 その30

歌川重政画『膝栗毛滑稽辻占』第29コマは浜松。宿屋に呼んだ按摩から幽霊が出ると聞いた2人、夜中に尿意を催して庭で小用をしようと雨戸を開けたところ、庭の隅に何やら白い影がある。弥次さんが恐怖のあまり気絶して騒ぎとなるが、実は洗濯で干したまま…

膝栗毛滑稽辻占 その29

歌川重政画『膝栗毛滑稽辻占』第28コマは見付。原作では通過するが、こちらでは宿で芝居風の見得を切りながら男と対峙している。「見付られたが百ねんめ(見付けられたが百年目)」とあるから、この男三島宿で弥次さんの路銀を盗んだ護摩の灰なのかもしれ…

膝栗毛滑稽辻占 その28

歌川重政画『膝栗毛滑稽辻占』第27コマは袋井。原作では掛川から袋井に向かう途中、昼なお暗い坂道で物乞いに声を掛けられて両人びっくりしたが、こちらの添え文には「こわさしのんでよるのみち(怖さ忍んで夜の道)」とあり、夜の旅という設定になってい…

膝栗毛滑稽辻占 その27

歌川重政画『膝栗毛滑稽辻占』第26コマは日坂。東海道五十三次の順で行くと金谷→日坂→掛川と来るはずだが、ここでは掛川宿の次に日坂宿のコマが来ている。添え文を見ると「こゝろの駒がくるひだす(心の駒が狂い出す)」。馬が暴れて弥次・喜多がそれを避…

膝栗毛滑稽辻占 その26

歌川重政画『膝栗毛滑稽辻占』第25コマは掛川。宿場の茶屋で酒を飲んでいる座頭の2人組を見つけた喜多さん、塩井川で川に突き落とされた意趣返しにと2人が注文した酒をこっそり盗んで飲んでしまう。酒が無くなった座頭は茶屋の亭主に量を誤魔化されたと…

膝栗毛滑稽辻占 その25

歌川重政画『膝栗毛滑稽辻占』第24コマは金谷。宿場から駕籠に乗った喜多さんに物乞いの巡礼がつきまとい、やりとりの最中に突然駕籠の底が抜けた。駕籠かき2人は急場しのぎに自分の褌を外し落ちた底と駕籠の胴を括って喜多さんを乗せようとしたが、胴中…

膝栗毛滑稽辻占 その24

歌川重政画『膝栗毛滑稽辻占』第23コマは嶋田。大井川の川越人足の代金を値切ろうと弥次さんが喜多さんの脇差を借りて二本差しで武士を装い問屋と談判するも、大刀に見せかけるために長く伸ばした鞘の袋が柱に当たって折れ曲がり正体が露見する。添え文は…

膝栗毛滑稽辻占 その23

歌川重政画『膝栗毛滑稽辻占』第22コマは藤枝。弥次さんが座頭の二人連れを騙して川を渡ろうと画策している絵が描かれているが、これは原作では塩井川*1が舞台。藤枝では地元の男性と道でぶつかってちょっとした諍いになるが、その話は無視されている。添…

膝栗毛滑稽辻占 その22

歌川重政画『膝栗毛滑稽辻占』第21コマは岡部。大井川が増水して渡しが閉鎖されたため(川留)、川の手前にある島田、藤枝の宿は宿泊客で満員となり、2人はやむなく岡部で水が引くのを待つことになった。原作には川留中の記述はないが、長雨になると滞在…

膝栗毛滑稽辻占 その21

歌川重政画『膝栗毛滑稽辻占』第20コマは丸子。『膝栗毛』ではとろろ汁店の夫婦喧嘩に巻き込まれて2人が名物を食べ損なうが、こちらでは路傍の焚き火の煙にむせる姿が描かれている。「むねのけむりで気がはれぬ(胸の煙で気が晴れぬ)」は恋の悩みに関す…

膝栗毛滑稽辻占 その20

歌川重政画『膝栗毛滑稽辻占』第19コマは府中。弥次さんが府中に住む親類から路銀を調達したので貧乏旅行はここで終了。この後2人は宿場の西側にある安倍川遊郭へと繰り出している。この絵には出張の床屋が描かれているが、おそらく身づくろいのために宿…

膝栗毛滑稽辻占 その19

歌川重政画『膝栗毛滑稽辻占』第18コマは江尻。原作では江尻は通過だが、こちらでは弥次さんが旅籠で按摩の施療を受けている。気持ちよくて半ばウトウトする弥次さん。一方喜多さんは構ってもらえないのが悔しくて、施療師の頭を足で小突いている。添え文…

神奈川大学日本常民文化研究所特別研究員の中町泰子さんから、『新年の共食機会に見られる占い菓子享受の習俗化―長崎県平戸市と石川県金沢市を中心として―』(神奈川大学日本常民文化研究所 非文字資料研究センター『年報 非文字資料研究』第7号、P.431-455…

膝栗毛滑稽辻占 その18

歌川重政画『膝栗毛滑稽辻占』第17コマは興津。原作で2人は茶店に立ち寄り団子を食べたが、こちらでは泊まっているようだ。添え文は「ふすま一えかまゝならぬ(襖一重がままならぬ)」。先約の隣の座敷からなじみの遊女の声が聞こえるのを切ない気持ちで…

膝栗毛滑稽辻占 その17

歌川重政画『膝栗毛滑稽辻占』第16コマは由比。原作では由比宿の呼び込みをスルーして薩埵峠越えをする2人だが、こちらでは宿に泊まってなにやら待っている様子。そもそも由比は「東海道の親不知」と呼ばれるほどの旅の難所。旅人は急峻な崖下に広がる砂…

膝栗毛滑稽辻占 その16

歌川重政画『膝栗毛滑稽辻占』第15コマは蒲原。お金が無いので宿場はずれの木賃宿に泊まった二人。夜中に起きた喜多さんが二階に上がったところ天井の板を踏み破って落下、一騒動になる。添え文は「わたしやおまへにおつこちだよ(私ゃお前におっこちだよ…

膝栗毛滑稽辻占 その15

歌川重政画『膝栗毛滑稽辻占』第14コマは吉原。『膝栗毛』では宿場を通り過ぎるが、こちらでは弥次さんが座り込んで何かを食べている。実は原作では次の蒲原の宿で喜多八が大名行列の一行に紛れ込み、ただ飯を食べたあげく手ぬぐいに一膳分のご飯を包んで…

膝栗毛滑稽辻占 その14

歌川重政画『膝栗毛滑稽辻占』第13コマは原の宿。*1『膝栗毛』ではここで蕎麦を食べたが、こちらでは喜多さんが旅の侍から煙草の火を借りている。添え文は「はらおたつのもほれたゆへ(腹を立つのも惚れた故)」。*2いかにも辻占紙片にありそうな文句だが…

膝栗毛滑稽辻占 その13

歌川重政画『膝栗毛滑稽辻占』第12コマは沼津。三島から沼津まではわずか一里半(約6km)の距離なので『膝栗毛』では茶屋で休息するだけだが、こちらには弥次さんがスッポンに噛み付かれている絵が描かれている。これは原作では三島宿での出来事。箱根か…

膝栗毛滑稽辻占 その12

歌川重政画『膝栗毛滑稽辻占』第11コマは三島。『膝栗毛』では道中知り合った護摩の灰*1と同宿したせいで、弥次さんが持っていた路銀が奪われた。弥次さんは印伝の財布を100文で売り、喜多さんが出立時に近所の人から託された伊勢神宮への賽銭(12文)と合…

膝栗毛滑稽辻占 その11

歌川重政画『膝栗毛滑稽辻占』第10コマは箱根。箱根といえば関所である。通行人は関所を通る際に笠・頭巾を取って検分を受けた。更に女性は「人見女」という女役人から書類の記載と身体的特徴が合っているかどうかチェックを受けた。*1この絵には頭に手ぬ…

膝栗毛滑稽辻占 その10

歌川重政画『膝栗毛滑稽辻占』第9コマは小田原。『膝栗毛』では喜多さんが下駄で五右衛門風呂の底を踏み抜く場面が有名だが、ここでは喜多さんが先に入っている弥次さんを覗き込んでいる。添え文は「小田原そうだんてきがもめる(小田原相談で気がもめる)…

膝栗毛滑稽辻占 その9

歌川重政画『膝栗毛滑稽辻占』第8コマは平塚。弥次喜多のご両人、『膝栗毛』では沿道の名所にちなんだ狂歌をひねりつつ平塚宿をスルーしたが、こちらのコマでは山盛りの饅頭をパクつく男にびっくりしている。日永(ひなが)の追分(三重県四日市市)にある…

膝栗毛滑稽辻占 その8

歌川重政画『膝栗毛滑稽辻占』第7コマは藤沢。『膝栗毛』によれば、弥次さんと喜多さんが茶店でくつろいでいると江の島へ向かう旅人がやってくる。彼は2人からいいかげんな道案内を長々受けて怒って去っていくが、添え文を見ると「からみつかれた*1ふじ沢…