2008-10-01から1ヶ月間の記事一覧

今日の辻占

永島春暁作『辻うらはんだん』より、「水地比」。「わるくいいりよとおまへとならば でても嬉しい新聞に([周囲が]悪く言おうとお前とならば、出ても嬉しい新聞に)」という都々逸。周りがどんなに悪く言っても、惚れた男と一緒なら、心中して新聞に出ても…

今日の辻占

永島春暁作『辻うらはんだん』より、「地水師」。「わたしの思ひは西洋ぶしん いろにそめられあをあをと(私の思いは西洋普請、色に染められ青々と)」という都々逸。表面的な意味は「私の思いは西洋建築のように、ペンキに染められて青々としています」と、…

今日の辻占

永島春暁作『辻うらはんだん』より、「天水訟」。「はへば立たてばあゆめとおしへた口で 今更ころべとは無理なおや(這えば立て、立てば歩めと教えた口で、今更転べとは無理な親)」という都々逸は、「転び芸者(身を売る芸者)になれ」という親への恨み節。…

今日の辻占

永島春暁作『辻うらはんだん』より、「水天需」。「おまへ上等わたしは下等 本当のへだてが邪魔をする(お前上等私は下等、本当の隔てが邪魔をする)」という都々逸から、身分違いの恋に悩む遊女の嘆きが聞こえて来る。アドバイスは「ときのいたるをまつべし…

今日の辻占

永島春暁作『辻うらはんだん』より、「山水蒙」。「はらを立せてまたわらはせて そて泣せるぬしのくせ(腹を立たせて又笑わせて、袖泣かせる主の癖)」という都々逸と、「きもをねらしてじせつをまつべし(肝を練らして時節を待つべし)」という評が書かれて…

ちょっとお休みしてしまいましたが

ゆっくりもしていられないので、再開します。

今日の辻占

永島春暁作『辻うらはんだん』より、「水雷屯」。「すへの遂ないえんならよしな よしなくろうする程かひがない(末の遂げない縁ならよしな、よしな苦労する程甲斐が無い)」という都々逸と、「うはべばかりうつくしきかたちなり(上辺ばかり美しき形なり)」…

風邪の予感…

昨晩より寒気と微熱が続いておりますので、養生のため明日より数日間、更新をお休みします。どうもすみません。

今日の辻占

永島春暁作『辻うらはんだん』より、「坤為地」。「みづをさされよがいぢめられうが いろやかはらじとこの花(水を注されようがいじめられようが、色や変わらじ床の花)」という都々逸と、「のぞみかなへどもおそし(望み叶えども遅し)」という評が書かれて…

今日の辻占

永島春暁*1作『辻うらはんだん』より、「乾為天」。「かたいくさりははなれぬけれど とかく時計はくるひがち(固い鎖は離れぬけれど、兎角時計は狂いがち)」という都々逸と、「人にすかれよきようにてわるし(人に好かれ良きようにて悪し)」という評が書か…

今日の辻占

沢村版『花のたよりこいの辻占』より「わるい事はむくいがくるよ(悪い事は報いが来るよ)」。6月30日の沢村版『つじうらづくし』のものと、文句も添え絵も同じ。刀はこちらの方がよく描かれているが、男の表情は『つじうらづくし』の方がよく出ていると思う。…

今日の辻占

沢村版『花のたよりこいの辻占』より「おつこちになつてわいけないよ(おっこちになってはいけないよ)」。当時、恋愛にのめり込んで、相手に溺れ、落ち込む者を「おっこち」と呼んだ。遊女は客を「おっこち」にするのが仕事で、逆は決して許されない。描か…

今日の辻占

沢村版『花のたよりこいの辻占』より「ふくろにためてあるよ(袋に貯めてあるよ)」。何を貯め込んでいるのかと思って添え絵を見ると、7月2日の「ふくがくるよ」(沢村版『つじうらづくし』)と同じ構図の大黒天が描かれている。大黒様の袋の中には金銀財宝…

今日の辻占

沢村版『花のたよりこいの辻占』より「かへるの子はかへるだよ(蛙の子は蛙だよ)」。当時は、福沢諭吉の『学問のすゝめ』*1がベストセラーになるなど、「学問を修めれば出自に関係なく出世ができる」という雰囲気が世に満ち満ちていた。明治5年8月には「学…

今日の辻占

沢村版『花のたよりこいの辻占』より「きつとあたるよ(きっと当たるよ)」。2月29日の「きつとあたりますよ」(加賀吉版『新板こゐの辻占』)と文句も添え絵もほぼ同じだが、こちらの方が絵が上手い。『新板こゐの辻占』を描いた歌川周重レベルの腕がありな…

今日の辻占

沢村版『花のたよりこいの辻占』より「今にきまるよ(今に決まるよ)」。7月31日の「いまにふうふになるよ」(沢村版『つじうらづくし』)に似た添え絵が描かれているが、白木の台の上をよくよく見ると載っているのは「横綱」。10月8日の「今日の辻占」でも…

今日の辻占

沢村版『花のたよりこいの辻占』より「おみやげがあるよ(お土産があるよ)」。花と竹篭の絵が添えてあるが、篭の中身はお菓子などの食べ物だろうか?4月1日の「劇場と辻占菓子」でも触れたが、岡本綺堂が紹介した新富座近所の煎餅屋で売られていた「辻占入…

今日の辻占

沢村版『花のたよりこいの辻占』より「おもいきつてとんでごらん(思い切って飛んでごらん)」。「清水の舞台から飛び降りるつもりで」ということで、それらしき懸造の建物の絵が添えてあるが、よく見ると屋根が瓦葺、柱が丹塗りで、明らかに京都・清水寺と…

今日の辻占

沢村版『花のたよりこいの辻占』より「わるいはまくりはどくになるよ(悪い蛤は毒になるよ)」。竹篭と蛤の絵が添えてあるが、遊客からのお土産であろうか。今でこそ珍しい物になってしまったが、当時東京湾の奥部は蛤の好漁場で、その名残は浦安や千葉の焼…

今日の辻占

沢村版『花のたよりこいの辻占』より「今によいことがあるよ(今に良い事があるよ)」。「福助*1」の絵が添えられている。今でこそ福助足袋の商標のイメージが強いが、当時は諸願を叶えるとして、茶屋・遊女屋などの水商売で祭られていた。その福助から「今…

今日の辻占

沢村版『花のたよりこいの辻占』より「すけべいてへつぴりだよ(助平で屁っぴりだよ)」。4月24日の沢村版『つじうらづくし』のものと文句は同じだが、こちらの添え絵には「干し芋(さつまいもを干したもの)」、「人参」、「じゃがいも」といった野菜が並ん…

今日の辻占

沢村版『花のたよりこいの辻占』より「まけないようにおしよ(負けないようにおしよ)」。勝とうと焦ると隙が出来て、相手に逆転のチャンスを与えてしまう。そんな事がないように、実力上位の者は自分の弱点を相手に晒さないよう対峙しなければならないと説…

今日の辻占

沢村版『花のたよりこいの辻占』より「ねがひ事はかなふよ(願い事は叶うよ)」。6月14日の「ねがいはかなふ」(沢村版『つじうらづくし』)と文句も添え絵も似ている。添え絵を比較すると、絵柄は『つじうらづくし』より『花のたよりこいの辻占』の方がシン…

今日の辻占

沢村版『花のたよりこいの辻占』より「すなおになるよ(素直になるよ)」。添え絵には、渡船場に翻る川止めの赤旗が描かれている。川が増水で急流となり、無理に向こう岸に渡ろうとすれば命が危ない。大自然の脅威の前では、人は素直に状況を受け入れるしか…

今日の辻占

沢村版『花のたよりこいの辻占』より「すこしはながたかすぎます(少し鼻が高すぎます)」。朋輩からの忠告だろうか?これを嫉妬の言葉と受け取って態度を改めないと、後々娼楼の中で総スカンを喰うはめになる。人間関係に気を配らなければならないのは、ど…

今日の辻占

沢村版『花のたよりこいの辻占』より「つなをわたるようだよ(綱を渡るようだよ)」。添え絵の上方に足だけ描かれているのが軽業師、下で口上を述べ、囃し立てているのが太夫。見世物小屋の光景である。これを遊廓に置き換えると、前者は遊女、後者は遣手婆…

今日の辻占

沢村版『花のたよりこいの辻占』より「せたいのくろうがして見たい(世帯の苦労がしてみたい)」。遊女の暮らしは華やかであっても、とどのつまりは売春業。平凡であっても、好いた男と二人仲良く暮らしたい。慣れない世帯の苦労も厭はないとは天晴れだ。「…

今日の辻占

沢村版『花のたよりこいの辻占』より「としおこせばよいよ(年を越せばよいよ)」。そうは言っても、無事に年を越す前にやらなければならない事がある。当時、大晦日は金銭貸借の総決算日だった。ツケ払いの取立てに回る者、それを逃れようと腐心する者。時…

今日の辻占

沢村版『花のたよりこいの辻占』より「しばらくおまちよ」。添えられているのは、歌舞伎『暫』でおなじみの鎌倉権五郎の絵。もめ事の場に「暫く〜」といいながら乱入し、悪人共を片っ端からやっつける正義の味方だ。『暫』は市川團十郎家(成田屋)のお家芸…