2009-02-01から1ヶ月間の記事一覧

今日の辻占

永島春暁作『辻うらはんだん』より、「雷火豊」。都々逸は、「思ひがとどいてうれしいへんじ あふよまつばのたたみざん(思いが届いて嬉しい返事、逢う夜待つ場の畳算)」。旦那へ送った招きの手紙に、「遊びに行くよ」と嬉しい返事。当日の宵の口、「本当に…

今日の辻占

永島春暁作『辻うらはんだん』より、「雷澤帰妹」。都々逸は、「ぢよろにやふられるあめにはふられ かへりヤかかアがつのをだす(女郎にゃ振られる雨には降られ、帰りゃカカアが角を出す)」。遊び好きの旦那にとっては、踏んだり蹴ったりの展開。メッセージ…

今日の辻占

永島春暁作『辻うらはんだん』より、「風山漸」。都々逸は、「いやなおきやくを大事にするも どうかおまへをよびたさに(嫌なお客を大事にするも、どうかお前を呼びたさに)」。老旦那と若い御付き。遊女の本命は若者の方だ。「おんなのかたよりあつくなつて…

今日の辻占

永島春暁作『辻うらはんだん』より、「艮為山」。都々逸は、「ほれたふりすりヤむちうになつて かようふお客はこけなもの(惚れたふりすりゃ夢中になって、通うお客は虚仮なもの)」。遊女の本音が思わずポロリ。お客を愚者扱いするとは、さすがは女狐。そん…

今日の辻占

永島春暁作『辻うらはんだん』より、「震為雷」。都々逸は、「人にやなぶられおまへにやけられ それじやわたしの身がたたぬ(人にゃ弄られお前にゃ蹴られ、それじゃ私の身が立たぬ)」。「ひくてあまたなれば先の気がつよくなかなかてに入らず(引く手数多な…

今日の辻占

永島春暁作『辻うらはんだん』より、「火風鼎」。都々逸は、「かたく見へても時さへたては とけるこころのあつごほり(堅く見えても時さえ経てば、融ける心の厚氷)」。今は歯牙にもかけてくれない花魁も、通い詰めれば打ち解けてくれるかもしれない。そうい…

今日の辻占

永島春暁作『辻うらはんだん』より、「澤火革」。都々逸は、「そわれざ死ふとかくごはしたが 命ありャこそ栄もある(添われざ死のうと覚悟はしたが、命ありゃこそ栄もある)」。一緒になれなかったら心中しようと思いつめる二人。しかし、気付く。命さえあれ…

今日の辻占

永島春暁作『辻うらはんだん』より、「水風井」。都々逸は、「いづものやしろへでんしんかけて いもせむすびを願たい(出雲の社に電信架けて、妹背結びを願いたい)」。「電信」という当時のハイテクを持ち出して、確実に縁結びができるようにと祈っており、…

今日の辻占

永島春暁作『辻うらはんだん』より、「澤水困」。都々逸は、「わたしやじやう気でいけんをすれば ぬしは風舟うはのそら(私ゃ蒸気で意見をすれば、主は風船上の空)」。頭から湯気を立てて怒る遊女とそれを上の空で聞き流す情夫。「上気」と「蒸気」を掛けた…

今日の辻占

永島春暁作『辻うらはんだん』より、「地風升」。都々逸は、「かんくしのけばアノこうばいも やがて花さく時がくる(寒苦しのげばあの紅梅も、やがて花咲く時が来る)」。紅梅と遊女を重ねて、彼女にエールを送っている。アドバイスの部分は一部破損している…

辻占と辻切り その7

辻占と辻切り その7 辻切りと岐神の関係はこれまで見てきた通りだが、仏教系の辻切りというのもある。画像は船橋市車方町のもの。(2004年撮影)「二聖・二天・南妙法蓮華経・鬼子母神・十羅刹女」と書かれた板が、集落のはずれの木に吊るされている。お題…

辻占と辻切り その6

辻占と辻切り その6 前回の話題と関連するが、船橋市夏見の日枝神社では毎年10月9日に年番氏子が新藁縄で大蛇(龍)を造り、頭を伊勢神宮の方向に向けて鳥居に飾り(画像)、五穀豊穣を祈る風習がある。遠くからだと注連縄のように見えるが、大蛇の頭に…

辻占と辻切り その5

辻占と辻切り その5 画像の辻切りは船橋市鈴身町のもの。注連縄をリング状にした「輪注連」に鷹の爪がはさみ込まれている。民俗学には「注連縄は蛇の交合の姿を表したもの」という説があり、この輪注連も元々は楠ヶ山のように藁蛇だったのかもしれない。

辻占と辻切り その4

辻占と辻切り その4 船橋市楠ヶ山を通りかかったら、辻切りの藁蛇が集落の入り口に据えられていたので、撮影。こちらの蛇の舌には鷹の爪が使われている。 また、木に巻きつけるのではなく、胴を伸ばしてセッティングしているのが面白い。前回の中野木の回で…

今日の辻占

永島春暁作『辻うらはんだん』より、「澤地萃」。都々逸は、「いやなものならなぜまたしよてに さういやわたしも思切る(嫌なものならなぜまた初手に、そう言や私も思い切る)」。2つの指輪の絵が添えられており、結婚の破談を詠んだもの。「初手」とあるか…

今日の辻占

永島春暁作『辻うらはんだん』より、「天風姤」。都々逸は、「へんじしかねて火ばちのはいへ 火ばしでわからぬ文字をかく(返事しかねて火鉢の灰へ、火箸でわからぬ文字を書く)」。「お前の心底が聞きたい」と迫る客。「あなたとのつきあいは金づく」とは口…

今日の辻占

永島春暁作『辻うらはんだん』より、「澤天夬」。都々逸は、「しのぶこいぢはまるきのはしよ わたるもこはしおそろしし(忍ぶ恋路は丸木の橋よ、渡るも怖し恐ろしし)」。忍ぶ恋が発覚して社会的地位や人間関係に傷を負うリスクと、不安定な丸木橋からすべっ…

今日の辻占

永島春暁作『辻うらはんだん』より、「風雷益」。都々逸は、「すきな酒ならのむなじやないが あとのしまつはたれがする(好きな酒なら飲むなじゃないが、後の始末は誰がする)」。下戸で万年飲み会の幹事が回ってくる方にとっては、身につまされる内容。飲む…

今日の辻占

永島春暁作『辻うらはんだん』より、「山澤損」。都々逸は一部判読できなかったが、「風が戸たたきやうつつで(さめ?)て 月にはづかしわがすがた(風が戸叩きゃ現で[醒め?]て、月に恥ずかし我が姿)」だろうか?逢引の後、ふと我に帰って気恥ずかしい思い…

辻占と辻切り その3

辻占と辻切り その3 今年も「辻切り」の季節がやってきた。(辻切りについては2008年3月9日、10日の「辻占の周辺」を御覧下さい)例年初午になると、千葉県船橋市の中野木地区では写真のような藁蛇を作り、地区の入り口2ヶ所の木の上に巻きつける。不幸や…

今日の辻占

永島春暁作『辻うらはんだん』より、「雷水解」。都々逸は、「花にこがれてくるてふてふを やぼな風めがじやまをする(花に焦がれて来る蝶々を、野暮な風めが邪魔をする)」。花が遊女の、蝶々が客の比喩ならば、風は、「よくせぬとしやまができるえ(好くせ…

今日の辻占

永島春暁作『辻うらはんだん』より、「水山蹇」。都々逸は「うつくしいとててたしはならぬ とげあるばらにも花がさく(美しいとて手出しはならぬ、棘ある薔薇にも花が咲く)」。「そんのうはぬりするかたちなり(損の上塗りする形なり)」というメッセージか…

吉原の辻占菓子売

吉原の辻占菓子売 辻占本『はうた辻占せんべい』の序文には、吉原の辻占菓子売の絵(画像)が添えられている。顔は見えないが服装から成人の男性が、辻占売につきものの提灯の代わりに「辻占」と書いた扇子を持ち、「辻占せんべい」と書かれた箱を肩から下げ…

遠月堂の辻占煎餅と『はうた辻占せんべい』のおまけ画像

『はうた辻占せんべい』の表表紙の見返しの画像。 水引をくぐるような感じで遠月堂の商標から「はうたつちうらせんべい」という文字が立ち昇っている。左下の源氏香図文「葵」は、徳川将軍家の家紋→メイド・イン・江戸を連想させる。

遠月堂の辻占煎餅と『はうた辻占せんべい』(辻占本)

遠月堂の辻占煎餅と『はうた辻占せんべい』(辻占本) 2008年3月16日の辻占雑記帳「辻占煎餅と大黒煎餅」で、上田市立図書館花月文庫所蔵の『は唄恋の辻うら』について言及したが、この度、同一本と思われる『はうた辻占せんべい』を入手した。 序文は甲南女…

そろりそろりと復活

やっと業務に一段落つきましたので、日記を再開します。