今日の辻占

tsujiurado2009-02-18

永島春暁作『辻うらはんだん』より、「澤水困」。都々逸は、「わたしやじやう気でいけんをすれば ぬしは風舟うはのそら(私ゃ蒸気で意見をすれば、主は風船上の空)」。頭から湯気を立てて怒る遊女とそれを上の空で聞き流す情夫。「上気」と「蒸気」を掛けたり、開化風景である「蒸気(機関車)」と「風船(気球)」を対比してみたり、「風船が上空に浮かんでいる様子」と「情夫が上の空で聞き流している様子」を掛けるなど、かなり作り込んでいる。素人ではこれほどまでの作品は作れまい。作者はそれなりの力量を持った戯作家だろう。ご託宣は「きをもみくらう多しのちにはよし(気を揉み苦労多し。後には良し)」だから、遊女の未来は明るい。