2008-08-01から1ヶ月間の記事一覧

今日の辻占

沢村版『花のたよりこいの辻占』より「ほんとふにしてまつているよ(本当にして待っているよ)」。「何を」ということで絵を見ると、「鼠鳴き(ねずみなき)」をする女が描かれている。口をすぼめて「チュウチュウ」と音を立てる鼠鳴きは、昔から客を引くおま…

体調不良につき

毎年、8月末から9月末にかけて、体調が悪くなります。 今年もそろそろ始まってきましたので、今後「辻占雑記帳」の更新頻度が落ちると思います。 あらかじめ、ご了承下さい。

今日の辻占

沢村版『花のたよりこいの辻占』より「今にめぐりあうと」。文句には何に出会うか書いていないので、引いた本人が考えなければならないが、『花のたよりこいの辻占』と銘打っているほどだから、大半の人は「恋人」、「人生の伴侶」辺りを脳裏に思い描くのでは…

今日の辻占

沢村版『花のたよりこいの辻占』より「のぼせてはこまるよ」。夢中になって理性を失っては困るよということで添えられたのが、トウガラシの絵。確かにトウガラシを食べると血のめぐりがよくなって上気するが、この文句にはそういう物理的な意味は含まれていな…

今日の辻占

沢村版『花のたよりこいの辻占』より「ほれているからぐちをいふ(惚れているから愚痴を言う)」。扇を背中に挿して浮かれている男が描かれている。泥酔して愚痴を言うのを遊女に咎められて、こう言い返したのだろうか。「若旦那転じて、”バカ旦那”」といった…

今日の辻占

沢村版『花のたよりこいの辻占』より「のせるとたつよ(乗せると立つよ)」。親指の上に乗ったヤジロベエの絵が添えてあるが、着物の配色から女性の人形だろう。客とのやりとりで心揺れ、塞ぎこむ遊女が、遣手婆の一言に乗せられて、今日も張見世で商売、商売…

今日の辻占

沢村版『花のたよりこいの辻占』より「たきつけられないようにおしよ(焚き付けられないようにおしよ)」。遣手婆が客を焚き付けて派手な宴席を設けさせようとしているのか?それとも、遊女が客を焚き付けて紋日の着物代を出させようとしているのか?いずれに…

今日の辻占

沢村版『花のたよりこいの辻占』より「ないせうでほれているよ(内緒で惚れているよ)」。本気で男に「好き」と言っても、「手管か」と疑われてしまう廓稼業。「波風立てないよう、忍ぶ恋をしよう」と決意する遊女の表情は、どこか冴えない。

今日の辻占

沢村版『花のたよりこいの辻占』より「ふたりいつしよにしのびたい(二人一緒に忍びたい)」。二人でこっそりデートがしたいということで、添えられているのが傘の絵。「相合傘」ということか。

今日の辻占

沢村版『花のたよりこいの辻占』より「せけんでそうぞうしいよ(世間で騒々しいよ)」。梅の木の下で太鼓を叩いている男の絵が添えてあるが、初午祭の風景だろうか?そうとすると、「『世間』で騒々しい」との間にはどんな結び付きがあるのだろうか?これが横…

辻占尽の値段

辻占尽の値段 辻占菓子売は辻占尽をいくらで購入したのだろう? 明治20年に作られた辻占尽『さはや板 しん板辻占』(写真)の欄外には、「定価五厘」とある。当時の葉書の価格(1枚1銭)を参考に現在の価格に換算すると、「定価25円」となる。 この辻…

伝法院通りの地口絵街灯

8月16日の辻占雑記帳「地口絵と辻占絵」の中で触れた浅草・伝法院通りの地口絵街灯の画像。大きな甕を持つ男の絵に「大かめもちだ(大金持ちだ)」という文句が添えてある。そのまま辻占絵になってもおかしくない絵だ。

辻占菓子売の業態

辻占菓子売の業態 私見ではあるが、辻占菓子売の業態を以下の3タイプに分類してみた。 1.メーカー直売 3月22日にも取り上げた深川六間堀山口屋の「辻占入りかりんとう」が典型。「本家山口屋かりんとう」の提灯を持った売り子が毎夜、東京の町中を流し売…

今日の辻占

沢村版『花のたよりこいの辻占』より「やめておくれよ」。酒肴の絵が添えてあるところをみると、「酒びたりになるのは止めておくれ」という意味か。2006年5月30日の「ごしようだからやめておくれよ」(加賀吉版『新板こゐの辻占』)や今年6月22日の「もうおよ…

「辻占売」のはじめに

「辻占売」のはじめに これまで見てきたように、世間一般では辻占菓子、辻占占紙を行商する者を区別することなく「辻占売」と呼んでいた。購入者としては、最低限辻占文句を書いた紙さえ手に入ればよかったので、両者を分けて呼ぶ必要がなかったのだろう。こ…

今日の辻占

沢村版『花のたよりこいの辻占』より「くわしくおはなし(詳しくお話し)」。歌舞伎役者らしき人物の絵が添えられているが詳細は不明。「芝居の御土産話を詳しく聞かせて」という意味なのか?それとも特定の芝居の決め台詞を引用しているのか?解釈に苦しむ。

絵師の暮らし

絵師の暮らし 明治34年3月発行の『文芸倶楽部』*1に、菱花生という方が「浮世絵師」という一文を寄せており、当時の絵師の暮らしぶりが報告されている。参考までにその一部を紹介しよう。 1.絵師が入門して独り立ちするまで <入門>雑用6ヶ月 ↓ <敷…

今日の辻占

沢村版『花のたよりこいの辻占』より「いまにはれるよ(今に晴れるよ)」。雨中を歩く2匹の狐の絵が添えられているが、これは「天気雨」の別名「狐の嫁入り」を表しているのだろう。昔の人は狐が嫁入りするところを人間に見せたくないために天気雨を降らすと…

地口絵と辻占絵

地口絵と辻占絵 今日の辻占で取り上げた地口行灯。一見すると絵柄が辻占絵と似ていることに気付かれた方も多いだろう。鈴木棠三編『ことば遊び辞典』を参照しながら、地口絵と辻占絵の違いについてまとめておきたい。 1.目的 地口絵 稲荷神社の初午祭へ奉…

今日の辻占

沢村版『花のたよりこいの辻占』より「ぢぐちでおさとりよ(地口でお悟りよ)」。当時、端唄や都々逸、謎々などと並んで、地口は酒席の遊びにはなくてはならないものだった。遊客の中には通人だと思われたい一心で、地口の本から仕入れたネタを女の前で披露す…

今日の辻占

沢村版『花のたよりこいの辻占』より「ぬらくらしてわ(は)いけないよ」。「ぬらくら」を辞書で引くと、(1)なめらかでつかみどころのないさま、(2)態度があいまいでつかみどころのないさま、(3)なまけてしまりのないさま、と出ている*1が、文句の意味…

今日の辻占

沢村版『花のたよりこいの辻占』より「人をばしやにおしでない(人を馬鹿におしでない)」。「馬鹿」を「馬車」にもじった地口風の文句。2頭立ての立派な馬車の絵が添えてあるが、中には顕官や富豪が乗っているのだろう。この文句には、通行人を馬車で蹴散ら…

残暑お見舞い申し上げます

連日暑い日が続いておりますが、関係者の皆様方はお元気でお過ごしのことでしょうか?小生はすっかり暑さにやられて、体の具合は絶不調。お盆期間中は遠出を避けて、自宅で静養することに致しました。とはいうものの、ブログの方は休みませんので、ご安心く…

今日の辻占

沢村版『花のたよりこいの辻占』より「いきおいがいいよ(勢いがいいよ)」。人力車は明治3年に和泉要助らによって考案されたが、駕籠に比べて、乗り心地がよく、スピードが出て、しかも1人で運転できるため、わずか2、3年で全国に普及した。車自体のスピ…

今日の辻占

沢村版『花のたよりこいの辻占』より「ひつくりしたよ(びっくりしたよ)」。描かれているのはラムネの絵。明治初めのラムネは「キュウリ瓶」(又は「トンゴ瓶」とも言った)という底の尖った瓶に詰められ、針金の付いたコルクで栓がされていた。開栓時に「ポ…

今日の辻占

沢村版『花のたよりこいの辻占』より「いそいでおくれ(急いでおくれ)」。手ぬぐいで汗を拭う駕籠かきが描かれている。「急ぐから、駕籠に乗っているのに」という客の不満はわかるが、駕籠はかき手がいなくては進まない。絵からは「あせらずに、少し頭を冷や…

今日の辻占

沢村版『花のたよりこいの辻占』より「たよりがあるよ(便りがあるよ)」。6月28日の「たよりあるよ(便りあるよ)」(沢村版『つじうらづくし』)には雁の絵が添えられていたが、こちらは電信柱*1の絵。想う人からの便りはすぐ届きますよという意味で描いた…

今日の辻占

沢村版『花のたよりこいの辻占』より「はやいがかちだよ(速いが勝ちだよ)」。4月21日の「いそぐはかちだよ(急ぐは勝ちだよ)」(沢村版『つじうらづくし』)には徒歩姿の男の絵が添えられていたが、こちらは蒸気機関車*1の絵。 *1:明治5年5月品川−横浜、同…

今日の辻占

沢村版『花のたよりこいの辻占』より「うれしいねへ(嬉しいねえ)」。添えられている絵は、8月3日の「おやうれしいよ(おや、嬉しいよ)」(沢村版『つじうらづくし』)と同じ「二つ枕」。文句の内容も似ていることから、同一、もしくは同門の絵師によって描…

今日の辻占

沢村版『花のたよりこいの辻占』より「大きなこいでなくてはわからないよ(大きな声でなくてはわからないよ)」。添えられているのは、大きな鯉のぼりと武者幟(一部)の絵。絵師は声を可視化することをあきらめ、「声」を「鯉」に置き換えて地口に走ったよう…