今日の辻占

tsujiurado2008-08-22

沢村版『花のたよりこいの辻占』より「せけんでそうぞうしいよ(世間で騒々しいよ)」。梅の木の下で太鼓を叩いている男の絵が添えてあるが、初午祭の風景だろうか?そうとすると、「『世間』で騒々しい」との間にはどんな結び付きがあるのだろうか?これが横浜−新橋間に鉄道が開通してから初の初午祭なら、時期は明治6年2月となる。この頃の世間の最大の関心事といえば、「徴兵問題」だった。1月より始まった徴兵制度には、官吏、所定学校の学生、洋行修業者、代人料(270円:兵隊3年分の経費相当額)納入者、戸主と相続人(長男・養子・独り子)などを免除する規定があったため、徴兵を忌避するために次男以下を分家したり、養子に出す者が続出した。また、「徴兵告諭」の中に「血税」という言葉があったことから「血を絞られて外国人に売られる」といううわさが広がり、6年から7年にかけて西日本を中心に各地で「血税一揆」が起こっている。国民皆兵制度の下、国の軍事力の担い手が士族から「国民」に代わることは、士族のプライドを傷つけ不満を増大させた。*1これなら、「世間で騒々しい」といえるのではないだろうか。

*1:参照:『日本全史』講談社、平成3年、P.920