2008-09-01から1ヶ月間の記事一覧

今日の辻占

沢村版『花のたよりこいの辻占』より「めでたい事があるよ」。「めでたい」ということから、祝い事で使う酒器の絵が添えられている。ひねりが無いので、物足りない感じがする。

今日の辻占

沢村版『花のたよりこいの辻占』より「人のはなしはほんとうにならないよ(人の話は本当にならないよ)」。添えられている幽霊の真似をする男の絵は、7月30日の「だますととりつくよ」(沢村版『つじうらづくし』)のものとほぼ同じ。「騙すと取り付く」とい…

今日の辻占

沢村版『花のたよりこいの辻占』より「すいもあまいもいろのみち(酸いも甘いも色の道)」。「人生の酸いも甘いも噛み分けてこそ、恋愛の達人になれる」ということで添えられたのが、寿司と饅頭の絵。即物的な感じもしないわけではないが、問題なのは握り寿…

今日の辻占

沢村版『花のたよりこいの辻占』より「ひとりでさむしいよ(一人で寂しいよ)」。添え絵には姉様人形*1が描かれているが、「遊ばれる事によって価値が生まれる」のは遊女もまた同じ。この文句は、客から声が掛からず、お茶を引く遊女の嘆きの言葉だと思う。 …

今日の辻占

沢村版『花のたよりこいの辻占』より「あしたのばんもきておくれ(明日の晩も来ておくれ)」。馴染みの遊女にこう言われたら男冥利に尽きるが、気になるのは添え絵にある「昔はなしてんぐ連」の看板。もしかして彼女は客の男っぷりではなく、昔話の面白さに…

今日の辻占

沢村版『花のたよりこいの辻占』より「やくそくはわすれないよ(約束は忘れないよ)」。7月28日の沢村版『つじうらづくし』の文句、絵とまるっきり同じだが、こちらの方が絵が上手い。腕まくりしてぐっと入墨を突き出した姿が、力強い筆致と着物の縞の歪みの…

今日の辻占

沢村版『花のたよりこいの辻占』より「いろけづくととられるよ(色気づくと取られるよ)」。「色気づく」ということで柘榴の実が描かれている。柘榴は6月頃開花し、成長した果実は秋になると赤く熟する。熟すと果皮が裂けて食用となる粒々の種皮が一部露出…

今日の辻占

沢村版『花のたよりこいの辻占』より「あいきやうがかんじんだよ(愛嬌が肝心だよ)」。見目麗しい女性の園である遊里においては、美貌があるのは当たり前。愛嬌いっぱいのお多福の面の絵が添えられていることからもわかるように、ここで人気を得るためには…

今日の辻占

沢村版『花のたよりこいの辻占』より「きれてはいやだよ(切れては嫌だよ)」。文句も添え絵も7月3日の「きれるといやだよ」(沢村版『つじうらづくし』)とほぼ同じ。普段は『花のたよりこいの辻占』の方が『つじうらづくし』よりも絵が上手なのだが、今回…

今日の辻占

沢村版『花のたよりこいの辻占』より「すききらいがあるよ(好き嫌いがあるよ)」。添えられているのは、「牛肉」、「牛なべ」と書かれた行灯の絵。9月8日の「今日の辻占」でも少し触れたが、当時の東京では牛鍋がブームで、牛鍋を食べない者は「文明開化を…

今日の辻占

沢村版『花のたよりこいの辻占』より「ぽんぽんおいいでないよ(ぽんぽんお言いでないよ)」。「ぽんぽん」つながりで腹鼓を打つ狸の絵が添えられているが、なぜか体の色は白。狸は普通灰褐色なので、この白い狸は遊女を動物に例えたものかもしれない。遊女…

戦前の瓢箪山稲荷神社の絵葉書

甲南女子大学の菊池眞一先生から戦前の瓢箪山稲荷神社の絵葉書をいただいたので、参考までにUP。(画像参照) 写真の大鳥居は明治39年5月に建てられたもので、2006年5月19日の「辻占雑記帳」で紹介した『辻占本家河内瓢箪山』*1に登場する「赤の鳥居」とは…

今日の辻占

沢村版『花のたよりこいの辻占』より「かたおもひだよ(片思いだよ)」。添えてあるのは鮑の絵。4月10日の「あわびのかたおもいだよ」(沢村版『つじうらづくし』)と比べると、画力は明らかにこちらの方が上。誰が見ても鮑と思うから、文句の中で「あわび」…

今日の辻占

沢村版『花のたよりこいの辻占』より「人めがあるよ(人目があるよ)」。思わせぶりな遊女の絵。言い寄る男に対してあからさまに拒むのではなく、「人目」を持ち出して当座のピンチをきりぬける。言われた男は「まんざらでもないな」と勘違いして、ますます…

今日の辻占

沢村版『花のたよりこいの辻占』より「人はならはしがかんじん(人は習わしが肝心)」。添えられている絵は「角兵衛獅子」。児童によって演じられる軽業を主体とした獅子舞の大道芸で、新潟県新潟市(旧・月潟村)の伝統芸能がそのルーツであることから、「…

今日の辻占

沢村版『花のたよりこいの辻占』より「水を入てはいけないよ(水を入れてはいけないよ)」。「貴方と水入らずで語り合いたい」という意味か。土俵の絵が添えてあるが、こちらは相撲の用語「水入」(取り組みが長時間に及んだ際に力水をつけるために取る小休…

今日の辻占

沢村版『花のたよりこいの辻占』より「くぜつがあるよ(口舌があるよ)」。「口舌」とは痴話げんかの事。屏風と寝具の絵が添えられていることから、寝間で派手にやり合っているのだろう。

今日の辻占

沢村版『花のたよりこいの辻占』より「いそがしくつていかれない(忙しくって行かれない)」。円錐形の深編み笠を被った「読売」らしき男が描かれている。当時、瓦版や新聞、教訓本や流行歌の本を大道で読み聞かせて販売する「読売」と呼ばれる者がいた。か…

今日の辻占

沢村版『花のたよりこいの辻占』より「だいぜうぶだよ(大丈夫だよ)」。土蔵の絵が添えられている。「火事と喧嘩は江戸の華」というが、当時の東京の建物は木造が主流だったので、一旦火の手が上がると容易に周囲に広がった。庶民は着の身着のままで逃げ出…

今日の辻占

沢村版『花のたよりこいの辻占』より「すへぜんしてまつてゐるよ(据え膳して待っているよ)」。遊女からのお誘いであろうか。描かれている朱塗りの膳や瀬戸物の器が高級感をかもし出している。

今日の辻占

沢村版『花のたよりこいの辻占』より「ぜひぜひおまへにあいたいよ(是非是非お前に逢いたいよ)」。馴染み客にしたためた手紙をチェックしながらほくそえむ遊女が描かれているが、あまりの出来の良さに、見ているこちらまでニヤリとさせられてしまう。こん…

今日の辻占

沢村版『花のたよりこいの辻占』より「おしをつよくしておいて(押しを強くしておいて)」。7月4日の「おしがつよいよ」(沢村版『つじうらづくし』)と同じ絵が描かれているが、こちらの文句では積極的に「押し」を奨励している。正反対の意味の文句に、同…

今日の辻占

沢村版『花のたよりこいの辻占』より「小の肉もあるよ」。軍鶏を描いた絵馬が添えられていることから、「小の肉」とは鶏肉を指すのだろう。文明開化の世の中になって、それまでタブーとされてきた肉食が一転ブームとなり、東京市中に牛鍋屋があいついで開業…

今日の辻占

沢村版『花のたよりこいの辻占』より「めつたにあはれないよ(めったに会われないよ)」。添えられているのは、雛人形の一種である「立雛」の絵。男雛、女雛を並べて飾るのは年に一度の事だから、この文句に添えられたのだろう。

現代の辻占?−「車占い」について− その2

3.辻占との比較 車占いを、現在瓢箪山稲荷神社で行われている辻占と比較してみる。(1)占いを行う場所 [車]道路沿い、交差点 [瓢箪山]辻(「うらば」と呼ばれる) (2)占いを行う時間 [車]原則日中 [瓢箪山]昔は夕方、現在は日中が多い (3)占…

今日の辻占

沢村版『花のたよりこいの辻占』より「なつのうちはうりだよ」。「夏の内は売りだよ」ということで夏に旬を迎える桃の絵が添えてあるようだが、意味が今ひとつわからない。「夏の団扇=内輪売りだよ」ということで、パトロンが見つからず紋日の揚げ代を身銭…

現代の辻占?−「車占い」について− その1

昭和52年5月30日付の『毎日新聞(夕刊)』で「子ども調査研究所」(東京・渋谷、高山英男代表)の齋藤次郎氏が「車占い」について紹介している。 この「車占い」は果たして辻占と関係があるのか考察してみた。1.記事概要1.1.発生場所 埼玉県入間…

今日の辻占

沢村版『花のたよりこいの辻占』より「しんぼうしておくれよ(辛抱しておくれよ)」。7月29日の「しんぼうしておくれ」(沢村版『つじうらづくし』)とほとんど同じ。こちらの方が絵が上手なので、以前「燭台」と思っていたものが、実は「持鈴(巡礼が持つ鈴…

今日の辻占

沢村版『花のたよりこいの辻占』より「いきはりだよ(意気、張りだよ)」。4月6日の「はりといきぢでしかたがないよ」(加賀吉版『新板こゐの辻占』)に似た文句。笠の絵が添えてあるが、これも『新板こゐの辻占』で描かれた”笠を被った男”と関連があるのか…

今日の辻占

沢村版『花のたよりこいの辻占』より「しのんでおいで(忍んでおいで)」。6月15日の「しのんでおいでよ」(沢村版『つじうらづくし』)とほぼ同じだが、こちらの絵の垣根は木の扉が付いた建仁寺垣で、『つじうらづくし』の扉なしの四つ目垣に比べ立派な造り…