2008-06-01から1ヶ月間の記事一覧

今日の辻占

沢村版『つじうらづくし』より「わるいことはむくいがくるよ(悪い事は報いが来るよ)」。悪事を起こせば必ず罰が当たりますよということで描かれているのは、歌舞伎『三人吉三廓初買』*1に出てくる「お坊吉三」(武家上がりの盗賊)似の男。この話はお坊吉三…

今日の辻占

沢村版『つじうらづくし』より「かゆいところえはてがとどかず(痒い所へは手が届かず)」。細やかな気配りをほめる際に、よく「痒い所へ手が届くような対応」と言うが、こちらの文句はその真逆。四文字熟語で言えば、「隔靴掻痒」。痒い背中を掻くことができ…

今日の辻占

沢村版『つじうらづくし』より「たよりあるよ(便りあるよ)」。添えられているのは雁の絵。中国の前漢時代、匈奴に使いに行った蘇武が現地で捕らえられ、長い間幽閉された際に、雁の足に手紙を括りつけて飛ばし、漢朝に自らの消息を伝えた故事から、手紙の事…

今日の辻占

沢村版『つじうらづくし』より「かほうはねてまて(果報は寝て待て)」。肘枕でごろ寝する男の絵が添えてあるが、足に注目すると、左足の裏を畳に着け、右足を左足の踵に接するようにして伸ばしている。試しにこの姿勢でごろ寝をしてみたら、両足を伸ばす場合…

今日の辻占

沢村版『つじうらづくし』より「われなべにとじふた(破鍋に綴蓋)」。ひびの入った鍋にもそれに相当した綴蓋があるように、どんな人にもそれ相応の配偶者があるという譬。6月24日の「おにの女房にきじんだよ」にも通じる文句だ。

今日の辻占

沢村版『つじうらづくし』より「ぶらぶらしてはいけないよ」。「ぶらぶらしないで、家業に身を入れろ」ということらしいが、添えてあるのは風鈴と団扇の絵。吊り下げられた短冊が左右に揺れることにより、風鈴は音を奏で、左右に扇がれることにより、団扇は涼…

最近体調がすぐれませんので、「辻占雑記帳」は梅雨明けまでお休みにします。

今日の辻占

沢村版『つじうらづくし』より「おにの女房にきじんだよ(鬼の女房に鬼神だよ)」。似たもの夫婦を譬える言葉として、「鬼の女房に鬼神がなる」とか、「鬼の女房に鬼神の亭主」という表現があり、前者では鬼神が、後者では鬼が女房となる。辻占文句だけ見てる…

今日の辻占

沢村版『つじうらづくし』より「すれつからしだよ(擦れっ枯らしだよ)」。世間の波に揉まれて、性格が悪くなった古株の遊女の事を言っているのだろうか?当時の女性はお歯黒を付ける際にはお歯黒筆を、白粉を塗る際には白粉刷毛を使っていたが、ここに描かれ…

今日の辻占

沢村版『つじうらづくし』より「もうおよしよ」。添えられているのは酒樽と盃の絵。酒樽には、加賀吉版『新板こゐの辻占』の「いくらのんでもおまいの物よ」(3月31日)と同じ「東京一」の銘が書いてある。これは偶然の一致なのだろうか?おそらく、(1)沢村…

今日の辻占

沢村版『つじうらづくし』より「わからないきだねへ」。「わからない」と言いつつ、見れば誰でもわかる松の絵が添えられていることから、この文句の「き」は「木」ではなく、「気」だと思われる。「松」と「待つ」を掛けて、「あなたを待っている私の気持ちを…

今日の辻占

沢村版『つじうらづくし』より「もうしといきだよ(もう一息だよ)」。米俵を積んだ大八車がぬかるみにはまったらしく、梃子を使って車を持ち上げる男と車を押す男が描かれている。道端に佇み、通りがかりの車の後押しなどをして駄賃をもらう「立ちん坊」と呼…

今日の辻占

沢村版『つじうらづくし』より「ふじゆうはさせないよ(不自由はさせないよ)」。添えてあるのは米俵の山と酒樽の絵。「不自由はさせないよ」と、言葉巧みに遊里に送られた娘達。食事や着物はあてがわれるものの、廓内に押し込められて苦界に沈む日々を過ごす…

今日の辻占

沢村版『つじうらづくし』より「花にはあらし(花には嵐)」。6月5日の「つきにむらくも(月に叢雲)」と同じで、好事に邪魔が入る譬。同じような意味の文句が1つの辻占絵に複数採用されていることから、このようなシチュエーションが遊里では起こり易かった…

今日の辻占

沢村版『つじうらづくし』より「しんぼうがかんじん(辛抱が肝心)」。添えてあるのは独楽の絵。クルクル廻り続けるためには、バランスを取る”心棒”が肝心なので、「心棒」と「辛抱」を掛けて描かれたのだろう。

今日の辻占

沢村版『つじうらづくし』より「あしたはおてんき(明日はお天気)」。初日の出に限ったことではないが、雲居から昇る朝日を見つめていると、不思議と胸に希望が満ちていく感じがする。でも、この絵の陽の光はギラギラし過ぎていて、見つめるにはちょっと眩し…

今日の辻占

沢村版『つじうらづくし』より「しのんでおいでよ(忍んでおいでよ)」。忍んで逢いに来てくださいということで、添えられているのが飛び石と垣根(四つ目垣)の絵。飛び石に誘導されて、気付いて見れば垣根の内に…。「身動きが取れなくなって後で悔やむこと…

今日の辻占

沢村版『つじうらづくし』より「ねがいはかなふ(願いは叶う)」。シンプルで力強いメッセージ。神社かお寺の手水舎と福笹?の絵を添えて、文句の有難みを強化している。

今日の辻占

沢村版『つじうらづくし』より「くびつたけだよ(首っ丈だよ)」。あなたに惚れてもう夢中ということで、添えられているのが渡し場の絵。河原にはなぜか輦台が放置されている。東海道の大井川の渡し(静岡県)では、川の水深が人足の脇の高さ(四尺五寸、136…

今日の辻占

沢村版『つじうらづくし』より「いけすかないよ」。描かれているのはムカデの絵。ムカデには毒があるので世間では嫌われているが、多くの足を持つ事から、客の出足を気にする商家や歌舞伎界では尊ばれ、家紋や屋号、商標などに取り入れられている。人から嫌わ…

今日の辻占

沢村版『つじうらづくし』より「おまへゆへならいのちでも(お前故なら命でも)」。「愛するあなたのためならば、命でも惜しくはありません」という、遊女の心中立の言葉。添えてある絵はよくわからないが、熊野誓紙、短刀、榊であろうか?

今日の辻占

沢村版『つじうらづくし』より「来は大吉」。辻占文句の中には吉凶の判断に苦しむものがあるが、こちらの文句は明々白々な大吉。「所詮辻占だよ」と半信半疑の方向けに、おみくじと振出箱の絵を添えてメッセージを補強している。

今日の辻占

沢村版『つじうらづくし』より「いまにらくになるよ(今に楽になるよ)」。「今に」ということで絵を見ると、大黒頭巾を被ったご隠居が描かれている。確かに、若旦那が遊郭に通わず、この歳になるまで家業に励めば、老後を楽に暮らせる位の財産は築けるだろう…

今日の辻占

沢村版『つじうらづくし』より「おにわのはなだよ(お庭の花だよ)」。盛りを迎えた桜の木と石灯籠が描かれているが、桜は遊女を、石灯籠は格式の高い「お屋敷」の庭=遊郭を暗示しているのだろうか?美しい花(遊女)を見れるのは、庭(遊郭)に招かれた客人…

今日の辻占

沢村版『つじうらづくし』より「きまいがいいよ(気前がいいよ)」。手にした小判をパラパラと床に降らせる若旦那。表情も心なしか上機嫌に見える。散財する愚者がいなくては、遊郭はやっていけない。「気前がいいよ」と周りから囃される彼の末路は暗い。

今日の辻占

沢村版『つじうらづくし』より「さきがかち(先が勝ち)」。絵の人物は「平四つ目」紋の旗指物から、近江源氏の佐々木高綱だろう。宇治川の合戦での梶原景季との先陣争いは、平家物語の中でも有名なエピソード。渡河で先行する景季に馬の腹帯が緩んでいると呼…

今日の辻占

沢村版『つじうらづくし』より「つきにむらくも(月に叢雲)」。月に叢雲、花に風。好事魔多き世のたとえ。恋に障害はつきものだが、いざこんな紙片が出てきたら気がめいるだろう。添えてあるのは三日月と雲の絵。色街が活気づく宵の空には、三日月がよく似合…

今日の辻占

沢村版『つじうらづくし』より「金づくではほれないよ」。時代劇で見るように威勢良く啖呵を切る女性が描かれているかと思えばさにあらず、お地蔵さんのように無愛想な遊女の絵が添えてある。こんな顔で言われると、燃え上がった恋心も一瞬で冷めてしまうだろ…

カテゴリー追加しました

「辻占雑記帳」の各章を抜き出して、「辻占占法の歴史」、「辻から離れていく辻占」、「辻占菓子」、「辻占占紙」のカテゴリーを付与しました。当ブログがいささかでも使い易くなれば、幸いであります。

第二次大戦後の辻占占紙

第二次大戦後の辻占占紙 戦後の混乱期、辻占占紙は困難に直面した。紙は統制品となり、人々は日々の暮らしでせいいっぱい。辻占売から占紙を買うゆとりなどなかった。また、戦時中の「神国日本」の反動からか、戦後、日本人の信仰心は希薄になり、辻占そのも…