今日の辻占

沢村版『つじうらづくし』より「さきがかち（先が勝ち）」｡絵の人物は「平四つ目」紋の旗指物から、近江源氏の佐々木高綱だろう。宇治川の合戦での梶原景季との先陣争いは、平家物語の中でも有名なエピソード。渡河で先行する景季に馬の腹帯が緩んでいると呼びかけて、彼が帯を直している隙に追い抜いて先陣の功を上げた。多少卑怯な感じもするが、明治の初頭は他人を出し抜いていち早く時流に乗れた者が地位や富を獲得できたので、この絵が添えられたのだろう。