辻占尽の値段

tsujiurado2008-08-21

  • 辻占尽の値段

辻占菓子売は辻占尽をいくらで購入したのだろう?
明治20年に作られた辻占尽『さはや板 しん板辻占』(写真)の欄外には、「定価五厘」とある。当時の葉書の価格(1枚1銭)を参考に現在の価格に換算すると、「定価25円」となる。
この辻占尽は横11コマ×縦11コマの構成なので、ここから121枚の紙片が取れる。よって紙片1枚の価格は約0.041厘(現在の価格で、0.207円)となる。これで一定の販促効果が見込めるのだから、零細な行商人が飛びつくのも頷ける。
『さはや板 しん板辻占』の編輯人兼出版人は深沢貞次郎(住所:東京・下谷区竹町12番地)。都立図書館の「貴重資料画像データベース」によると、明治17年に橋本周延の錦絵を11枚出していたことがわかるが、その他の版行については不明。単色で安価な辻占尽を手掛けたのは、行商人相手の日銭稼ぎをする必要があったからだろうか?