「辻占売」のはじめに

  • 「辻占売」のはじめに

これまで見てきたように、世間一般では辻占菓子、辻占占紙を行商する者を区別することなく「辻占売」と呼んでいた。購入者としては、最低限辻占文句を書いた紙さえ手に入ればよかったので、両者を分けて呼ぶ必要がなかったのだろう。この章では混同を避けるため、前者を「辻占菓子売」、後者を「辻占占紙売」と名付けて分析する。
先の「辻占菓子」、「辻占占紙」の章では商品史的な記述が目立ったので、この章では流通や販売者の暮らしぶりなどにスポットを当てていきたい。