地口絵と辻占絵

  • 地口絵と辻占絵

今日の辻占で取り上げた地口行灯。一見すると絵柄が辻占絵と似ていることに気付かれた方も多いだろう。鈴木棠三編『ことば遊び辞典』を参照しながら、地口絵と辻占絵の違いについてまとめておきたい。
1.目的
地口絵 稲荷神社の初午祭へ奉納する行灯に貼られる。祭り終了後は廃棄。
辻占絵 1コマずつ切断されて、高級な辻占菓子の中に封じられる。(現存する1枚物は未使用品→当時のコレクターズアイテム?)

2.出現時期
地口絵 宝暦年間には「いなり行灯」という名称でぽつぽつ始まる。「地口行灯」の呼称は寛政頃から。(『ことば遊び辞典』P.919-920)
辻占絵 弘化年間から?(遠月堂の「役者似顔辻占煎餅」からか?)

3.製作のアプローチ
地口絵 手書き。絵が主体で文句は従。(『ことば遊び辞典』P.913)
辻占絵 錦絵。文句が主体で絵は従。(時に絵師が文句から逸脱した絵を描く事もあるが)

4.流行期間
地口絵 文化年間〜明治中期。今日でも細々と続けられている。(『ことば遊び辞典』P.919-920)
辻占絵 幕末〜明治中期。

昨今、初午祭に地口行灯を掲げるお稲荷さんは少なくなってしまったが、浅草の伝法院通りには地口絵を採用した街灯が並んでいるので一年中見ることができる。興味のある方は浅草寺の帰りに寄ってみてはいかがだろうか。