今日の辻占

tsujiurado2009-02-24

永島春暁作『辻うらはんだん』より、「震為雷」。都々逸は、「人にやなぶられおまへにやけられ それじやわたしの身がたたぬ(人にゃ弄られお前にゃ蹴られ、それじゃ私の身が立たぬ)」。「ひくてあまたなれば先の気がつよくなかなかてに入らず(引く手数多なれば、先の気が強く、なかなか手に入らず)」というメッセージから推測すると、この都々逸は遊女に振られた旦那を詠んだものだろう。人気者で引く手数多の遊女を身請けしようと旦那が置屋と交渉したところ、先方の鼻息が荒く、多額の身請金を要求された。彼は必死になって金策に走ったが、金の工面はなかなかできず、周囲から「甲斐性なし」と陰口を叩かれ、とうとう遊女からも愛想をつかされたのだ。添え絵の櫛や簪はかつて遊女の気を引くために贈ったものだが、こういう結果となった今では、虚しさを引き立てる役にしかならない。