今日の辻占

tsujiurado2009-02-23

永島春暁作『辻うらはんだん』より、「火風鼎」。都々逸は、「かたく見へても時さへたては とけるこころのあつごほり(堅く見えても時さえ経てば、融ける心の厚氷)」。今は歯牙にもかけてくれない花魁も、通い詰めれば打ち解けてくれるかもしれない。そういう淡い期待を抱いて、遊郭通いを続けた旦那もあったろう。ご託宣には「どこまでもをしとふせばととのふ事あるべし(どこまでも押し通せば調う事あるべし)」とあるが、押し通すためにはそれなりの財力が必要な事は一切触れていない。哀れな男を蟻地獄へと引きずり込む、実に罪深い辻占文句だ。添え絵の氷旗は旗竿に付けるタイプで、現在かき氷店の店頭で見掛けるものとは異なっている。氷旗の変遷を考える上で貴重な史料になるかもしれない。