膝栗毛滑稽辻占 その11

tsujiurado2011-10-21

歌川重政画『膝栗毛滑稽辻占』第10コマは箱根。箱根といえば関所である。通行人は関所を通る際に笠・頭巾を取って検分を受けた。更に女性は「人見女」という女役人から書類の記載と身体的特徴が合っているかどうかチェックを受けた。*1この絵には頭に手ぬぐいを巻いた弥次さんや頭巾の女がいるが、これは関所側にとって要注意人物。添え文の「人めの関所でまゝならぬ(人目の関所でままならぬ)」は男女の恋愛のことをいったものだが、このあやしい2人にダブらせているのだろう。

*1:江戸時代には大名の妻子を人質として江戸に置く定めがあったため、密かに帰国しないように関所での吟味が入念に行われた。いわゆる「入り鉄砲に出女」の「出女」である。文久2年(1862)に参勤交代の制度が改革されて大名の妻子の帰国が認められると出女への監視は緩くなり、この錦絵の製作された翌年の慶應3年(1867)には通行手形が廃止されて関所でのチェックもなくなった。