辻で狐に化かされた話

tsujiurado2008-03-07

  • 辻で狐に化かされた話

村上昭三著『船橋の民話』(聚海書林、平成5年)をパラパラめくっていたら、次のような話があった。

倶梨伽羅不動の古狐(抄)
昔、上飯山満村(船橋市)の倶梨伽羅不動の森に古狐が棲み、道往く人々を化かして手荷物を掠め取っていた。
ある日、実籾村(習志野市)の馬方が芋の苗を買い付けての帰途、倶梨伽羅不動の辻(三叉路。写真参照)までやってくると突然頭がボーっとなり、方向が分からなくなった。道を行ったり来たりしていると、魚や油揚げの入った背中の包みをしきりに引っ張る者がいて、ふと我に返った。馬方は、これは古狐の悪戯だろうと考え、路傍にしゃがみこむと狐の嫌う煙草を一服した。その後吸殻を背後に放ると、これが見事に狐の背中に命中、古狐はほうぼうの体で退散したという。

2006年5月7日の辻占雑記帳で、辻は「異界」の入り口で、神霊や悪霊、妖怪や幽霊が出没した、と述べたが、格は落ちるが上記の妖狐もそれらの仲間であろう。