今日の辻占

tsujiurado2009-03-16

永島春暁作『辻うらはんだん』より、「火水未済」。都々逸は、「雨のふる夜に来て下さんす ぬしの実意にががをれた(雨の降る夜に来て下さいます主の実意に我が折れた)」。「あらはれぬかたち」という評から、この都々逸が遊女の独白に拠っていたことがわかる。一途な客に遊女が降参するという、男にとっては喝采を送りたくなる状況だが、製作者のスタンスが辻占菓子を購入してくれる遊郭側に寄っていたためか、あえて卦のよくない「火水未済」で使われている。添え絵は「夜」つながりで、アーク灯の街灯*1。いかにも明治らしい風景である。
今日をもちまして、『辻うらはんだん』64コマの紹介は終了いたしました。次回からは、関西方面で製作された辻占絵を取り上げてまいります。

*1:明治15年、東京・銀座に日本最初の電気街灯として設置