瓢箪山稲荷神社の辻占(その3)

明治34年1月28日付『大阪朝日新聞』には、『瓢箪山の辻うら』と題する参拝体験記が載っているが、ここに見える辻占の手順は次の通り。

  1. 神社に参拝し、願意を神に伝える。
  2. 拝殿前に置いてある籤(一〜三の番号がついた棒が入っている)を引く。
  3. 「一の鳥居の脚の小橋[たいこう橋]」を西に渡り、街道を通行する者を観察する。くじで「三」が出たら三番目に通りかかる人の言動、服装を観察する。
  4. 社務所へ行き、見聞した内容を詳しく神職に伝え、判断を乞う。

この記事を読むと、判断の希望者が多くて、神社側で応対できたのは全体の3〜4割、残りは村の古老が代わって判断を下していた。瓢箪山の辻占は元来土着の占法なので、生活経験の豊富な古老は神官に匹敵する様々な判断例を蓄えていたのだろう。ちなみに、参道脇の茶屋の数は、参拝者が増え続けたため、明治20年代後半には2軒だったのが、明治34年には5軒になっている。
この瓢箪山の辻占は昭和10年代まで盛んに行われ、今日でもなお続いているが、辻占を行う「占場(うらば)」は、昭和43年に交通事情から東参道の入口へと移っている。