瓢箪山稲荷神社と辻占占紙 その2

明治初年に山畑阿良美(顕海)が発明した占紙はどのようなものだったのだろうか?
瓢箪山稲荷神社の社報『瓢山 第十八号』(平成8年)には、現在の「おみくじ辻占」と形式、判断項目がほとんど同じの「百年以上前の木版のおみくじ」が紹介されている。この木版の「おみくじ」が発明当初の辻占占紙と同一かどうかはわからないが、辻占占紙として市中で実際に売られていた可能性がある。
明治30年3月26日付の『大阪朝日新聞』に辻占売の姉妹が偽金詐欺に遭った記事が出ているが、そこには彼女達の販売時の呼声が記録されている。それは「河内瓢箪山辻うらでござい」、「運気縁談待人失物旅立方角恋の辻占」というもの。この「運気縁談待人失物旅立方角恋」とは、辻占占紙に書いてある判断項目をそのまま読み上げているのではないか?そう思って、以下のような比較をしてみた。

・呼声での順番
運気、縁談、待人、失物、旅立、方角、恋
・おみくじの判断項目の順番
商業(内容は「運気」に近い)、縁談、旅立、宅替、待人、失物、争事、売買、病気、そして上段に辻占文句を配す

全体的に見ると共通する点が多いが、呼声の「方角」が、おみくじでは「宅替」となったり、項目の順番が一部で入れ替わっている。これは、おみくじを呼売するに当たって、語感の悪い項目を言い換えたり、リズムを整えるために項目の順序を入れ替えたからとは考えられないか?興味があったら、社報が国会図書館に収蔵されているので、御覧いただきたい。