今日の辻占

tsujiurado2008-07-12

沢村版『つじうらづくし』より「二世も三世もさきのよまで(二世も三世も先の世まで)」。2006年5月27日の「二世もさん世もかはらぬみよと(二世も三世も変わらぬ身よと)」(加賀吉版『新板こゐの辻占』)とほぼ同じ事を言っている。こちらの二枚の紙の絵は、廓で男女が交わす「誓紙」を描いているのだろう。熊野神社の神使である烏が刷り込まれた「熊野牛王宝印」という料紙の裏に、各々二心ない旨をしたためて交換するのだ。誓紙を一枚書くたびに熊野の森の烏が一羽ずつ落ちて死ぬと言われ*1、誓いを破った本人には必ず神罰が下ると懼れられた。この誓紙は遊女が客の心を繋ぎとめる手管の一つなのだが、こんな使われ方をするとは神様も想定していなかったろう。

*1:参照:諏訪春雄「廓の遊び」(『国文学第26巻14号』学燈社、昭和56年、P.70)