今日の辻占

tsujiurado2009-03-13

永島春暁作『辻うらはんだん』より、「風澤中孚」。都々逸は、「花はちつて葉に香をとめて うまくくはせるさくらもち(花は散って葉に香を留めて、巧く食わせる桜餅)」。桜の花と桜餅、花と葉っぱで2度楽しめます、という意味の他に、落籍しても色香を残し、夫婦仲睦まじい元遊女のことを謡っているのだろうか?向島長命寺の桜餅はかつて墨堤などお寺周辺の桜葉を使っていたので、このように花と餅が結び付いた都々逸が生まれたのだろう*1。色香といっても表面的な化粧に力を入れるのではなく、「正じきならかふして事ととのふべし(正直ならこうして事調うべし)」というご託宣の通り、心の内面を磨くことが大切なようだ。

*1:ちなみに、現在、桜葉の生産では伊豆の松崎町が全国の7割を占めている[材料には、大島桜を使用]