膝栗毛滑稽辻占 その7

tsujiurado2011-10-17

歌川重政画『膝栗毛滑稽辻占』第6コマは戸塚。茶店でおばさんに絡まれ押し黙る喜多さんを弥次さんがニヤニヤしながら眺めている。『膝栗毛』で喜多八は元旅役者という設定なので、女がその美形をぶりを囃し立てているのだろう。添え文の「とつかまへてははなしやせぬ」は「とっつか」と「戸塚」、「放し」と「話」が掛けてあり、喜多さんをつかんで放さない戸塚の女の様子とつかまれている限りは話はしないという喜多さんの意地が示されている。この元歌*1は『膝栗毛』の程ヶ谷宿のところに出てくるが、舞台が戸塚なので上の句はカットされ、登場人物も宿の客引きをする留女から茶店の女に変更されている。

*1:「おとまりはよい程谷ととめ女 戸塚前てははなさざりけり」