江戸期の辻占菓子(追加)

・江戸期の辻占菓子(「辻占菓子」の章に追加)
昨日、国立歴史民俗博物館(佐倉)へ行ったら、第3展示室(近世)がリニューアルされていた。何か辻占に関連する史料はないかと展示をつぶさに見ていたら、『懐溜諸屑(ふところにたまるもろくず)』という天保安政期の紙物を貼り込んだ貼り込み帖の中に、あの「遠月堂」の商標(色刷)を発見した。帰宅後調べてみたら『懐溜諸屑』は既にDB化されており、昨年3月から歴博のHPで公開されているとの事。試しに検索してみたら、辻占菓子に関する史料が何件か出てきたので、ここで紹介したい。画像が見たい方は、資料番号を添えておくので、直接DBで御覧になって欲しい。
1.遠月堂の商標
資料番号 H-1492-2-21、H-1492-4-154、H-1492-5-231、H-1492-7-10、H-1492-17-2の5件。年代はいずれも不明。第3展示室にあったのは、H-1492-4-154。H-1492-5-231のみ墨刷で店名は「遠月堂縁呉」、他は色刷で店名は「遠月堂緑谷」。どちらが先かははっきりしないが、遠月堂は「縁呉」、「緑谷」と二代に渡って営まれたようだ。遠月堂の商標がこれだけあるのに、『懐溜諸屑』には豊國画の辻占紙片は残念ながら1つもない。別にスクラップされたのか。

2.深川森下町・近江屋の辻占豆
資料番号 H-1492-2-65。藍刷の商標で、「恋の辻占 入船豆」、「深川森下町 近江屋製」とある。「入船豆」とは商品名で、辻占紙片が入っていたのだろう。

3.東両国・増田屋の辻占煎餅
資料番号 H-1492-3-126。H-1492-4-243。墨刷の商標がダブりで収録されている。「玉子せんべい 辻占せんべい 亀の甲せんべい」、「東両国元町通 増田屋藤八」とあり、瓦煎餅系の店舗だったようだ。

4.本銀町・讃州屋の辻占入り玉子せんべい
資料番号 H-1492-23-59。墨刷の商標で、「玉子卸 辻占入玉子せんべい」、「本銀町弐丁目中通り 讃州屋彦四郎」とある。「本銀町弐丁目」といえば、今の中央区室町4丁目辺り。「玉子卸」とあるところから、人形町通り新乗物町の「越後屋清蔵」と同じ業態をとっていたと推測される。

5.辻占太平豆
資料番号 H-1492-22-73。藍刷の商標で、「辻うら 太平豆」とある。店名不明。辻占豆の一種だと思う。

6.辻占紙片2種
資料番号 H-1492-9-112。藍刷で、「まじめてたんときやすめをゆうがいい(真面目でたんと気休めを言うがいい)」とある。
資料番号 H-1492-13-52。墨刷で、「すへには夫婦」とある。