『辻占おたんちん』

甲南女子大学の菊池眞一先生から、『辻占おたんちん』と題した辻占関係の袋をいただきました。(画像参照)
「おたんちん」という語は吉原でよく使われた廓言葉で、「間抜け」という意味。(ちなみに、これが後に「おたんこなす」となる)そのため、吉原と関係する品ではないかと思い、袋の表をじっくり観察したところ、お月様の絵の中にあぶり出しで「も中の月」と記されていた。
「最中の月」は今の最中のルーツとされる菓子で、吉原の仲の町にある「竹村伊勢」で作られていた。
念のため、本日、虎屋文庫の中山圭子*1にも現品を見ていただいたが、このような物は未見との事。おそらく、これは「最中の月」の「おまけ」として作られたのだろう。
袋の説明書によると、袋の中には辻占文句を記して畳んだ紙が3つと解説用のパンフが入っており、占いをしようとする者は想う事をよく念じて3つのうちから1つを選び、紙を打ち開いてパンフを参考にして判断を下すとある。残りの2つは開けてはならないとの由。
制作時期は「蛤の辻占」の絵が描かれていることから、幕末〜明治初めだろうか?口上を書いている「潅水亭」なる人物のプロフィールがわかれば時期を更に絞り込めると思う。

*1:『和菓子ものがたり』(新人物往来社、平成5年)の中で「最中の月」を紹介された