2008-04-01から1ヶ月間の記事一覧

辻占菓子売の受難

辻占菓子売の受難 明治35年を過ぎる頃から、一部の辻占菓子売が消え始める。三谷一馬『彩色江戸物売図絵』によれば、幕末より続いた深川の山口屋の花林糖売がこの頃消えたようだ。また、明治41年9月10日付の『菓子新報』では、「都下 昔あつて今無い…

今日の辻占

沢村版『つじうらづくし』より「こころはゆるせないよ(心は許せないよ)」。描かれているのは思案する姿の男性。遊女を描けばストレート過ぎるので、悶々とする客の方を描いたのだろうか。

京阪の辻占菓子売

京阪の辻占菓子売 明治2、30年代の京都・大阪で「辻占売」というと、辻占菓子を行商する者と、辻占の文句を書いた占紙を歩き売りする者の2種類がいたが、ここでは辻占菓子を売る者を紹介する。 1.「げんこつや」 明治27年発行の『風俗画報第79号』…

今日の辻占

沢村版『つじうらづくし』より「とうざの花ならよしておくれ (当座の花ならよしておくれ)」。その場限りの相手なら御免蒙りますという遊女からのメッセージ。「張り」が感じられてよい。添えてある絵は、何の捻りもなく花の絵。

今日の辻占

沢村版『つじうらづくし』(製作時期:明治初期)より「人おにはないよ(人鬼は無いよ)」。廓には「遣手婆(やりてばばあ)」という元遊女のマネージャーがいた。遊女のスケジュール管理や、芸者、酒肴の手配、遊客との交渉など、全てが彼女の胸先三寸で決ま…

東京の辻占売(補)

東京の辻占売(補) 辻占豆に引き続き、この時期の辻占入り花林糖について紹介しよう。 正岡子規が『ト筮十句集を評す』(明治三十一年)の中で、こんな評をしている。 長き夜に辻占を呼ぶ旅籠かな 春風庵 旅中長夜のつれづれ辻占売を呼びとめて二銭を投げう…

東京の辻占売

東京の辻占売 明治2、30年代の東京で「辻占売」と言えば、「辻占菓子の行商人」の事を指した。作家の三島霜川は『文芸界』で次のように紹介している。 辻占賣 固(もと)より是は露店とは謂はれぬ。けれども夜商人の一員としては、是非共紹介せねばならぬ…

今日の辻占

加賀吉版『新板こゐの辻占』より「はりといきぢでしかたがないよ(張りと意気地で仕方がないよ)」。古の江戸の遊女は、自分の気に食わない客を振る「張り」と、自分の想いを貫き通そうする「意気地」という気風を併せ持っていた。この文句は振られてしまった…

今日の辻占

加賀吉版の辻占絵『新板こゐの辻占』より「ごくしゆびは上々吉だよ(極首尾は上々吉だよ)」。明治11年発行の『東京俳優見立辻占給金附』(東京の歌舞伎役者の番付を辻占絵風に仕立てたもの)を見ると、第2位の給金レベルにある役者に「極上上吉」の評価が…

辻占応用の新製品その2

辻占応用の新製品その2 (9)「蛤の辻占」 米の粉で蛤の形を薄く大きく空洞に作り、中に辻占とそれに見合う小玩具を入れて売る。「蛤のがらがら」ともいい、河竹黙阿弥の『女化稲荷月朧夜』(明治18年)にも登場する。[参照:三好一好『江戸風俗語事典』…

辻占応用の新製品その1

辻占応用の新製品その1 幕末時、煎餅、豆、花林糖、昆布などに添えられていた辻占の紙片が、明治に入ると更に多くの商品で見られるようになる。 (1)「辻うら香」 明治4年12月10日付の『横浜毎日新聞』に東京日本橋四日市の洋書販売店・和泉屋半兵衛が…

今日の辻占

加賀吉版『新板こゐの辻占』より「まけるほふがとくがいくよ(負けるほうが得が行くよ)」。「負けるが勝ち」と同じような意味だが、絵を見ると、親指と人差し指で輪を作る仕草(「お金」を示す)が描かれている。「算盤尽く」でわざと負けるのか…。

銭湯と辻占菓子

銭湯と辻占菓子 明治5年に仮名垣魯文が書いた滑稽本『胡瓜遣』に辻占入りの砂糖豆が登場する。(参照:『明治の文学 第1巻 仮名垣魯文』筑摩書房、平成14年) 「下卑の食乱」は、バイト代を手にした貧乏書生が東京の街を散歩しつつ、様々な食べ物を手当…

今日の辻占

加賀吉版『新板こゐの辻占』より「いつそつれてにげておくれよ(いっそ連れて逃げておくれよ)」。言うのは簡単だが、ほとんどの場合、逃亡は失敗に終わった。江戸時代、遊女が駆け落ちすると、楼主は町奉行所に届けを出し、同心や岡っ引が探索に加わった。そ…

今日の辻占

加賀吉版『新板こゐの辻占』より「またおきあがるよ(また起きあがるよ)」。人生は七転び八起きということで、達磨さんの絵。

「今日の辻占」の記述が大分溜まってまいりましたが、「記事一覧」から任意の「今日の辻占」を選んでクリックすると占いができます。(原始的なシステムですみません)ひまつぶしにどうぞ。

劇場と辻占菓子

劇場と辻占菓子 劇作家の岡本綺堂は随筆集『明治劇談 ランプの下にて』(青蛙房、昭和40年)の中で、幼い頃の芝居見物について語っているが、そこに辻占菓子が登場する。明治12年3月9日、新富座での一こまである。 幕の間に、わたしは父に連れられて劇…